第2話 メーティスの箱庭
俺はその放送のビデオを見ていた。
なぜならさっき院長に勉強の一環として見てみなさいといわれたからだ。
俺の名前は不二悠希。物心ついたときにはもうこの「メーティスの箱庭」という孤児院にいた。
ここには自分を含めて三人しかいない。
なんせ院長が自費で管理、運営をおこなっているのでそうたくさんの子供を面倒見られないのだ。
ビデオも終わりおれは伸びをしていると
「やっぱり魔法はあったんだね!」
隣に座っていた橘栞奈が話しかけてきた。
「栞奈むかしからそういうの大好きだもんな。」
「あー私も使ってみたいなー」
栞奈は目を輝かせながらいった。
「こんな感じかなーファルケイル=イルミプス!」
栞奈は両手を前に出し訳のわからない言葉を大声でさけんだ。
「おい、うるさいぞ。」
栞奈の前に座っている清水零が怪訝な顔で冷たくあしらった。
おー、相変わらず零はクールだな、
「零!ちょっといまの言い方がきついよ!」
栞奈はほっぺたをふくらませながら言った。
「いや実際うるさかっただろ。」
零も黙っておらず言い張った。
「たしかに栞奈もちょっとうるさかったかもだけどさっきのは冷たすぎるよ。」
栞奈も負けじと言い返す。
「うるさい栞奈が悪いだろ」
零も食って掛かり言い返す。
「うるさいのは認めるけど冷たい零はやだ!」
栞奈もそれに言い返し言い合いになる。
栞奈の方ちらっと見ると目に少しずつ水がたまり始めているのが見えた。
栞奈のHPはもう無い、栞奈は口喧嘩が圧倒的に弱いのだ。
理屈より勘といったかんじなんだよな。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて、栞奈だって悪気があったわけじゃないんだし、ね?」
おれはふたりをなだめる。
するとふたりは目を合わせ、ためいきをつくと
「冷たく当たってわるかったな」
と零が謝った。
「べ、べつになんとも思ってないから大丈夫だし。栞奈も悪かったし。」
と栞奈は勢いよく言った。
いや、嘘つくな半泣きだっただろと思ったがこれは口には出さず心にとどめる。
言わぬが花をしっかりと実行する悠くんはえらい。
と、騒ぎがひと段落したところに「照じい」こと院長の長谷川照彦が来た。
「みんな晩御飯ができたぞい」
いつものようにご飯ができたことを知らせに来てくれたのだ。
俺たち三人は「「「はーい」」」と返事した。
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