嚮後のユートピア

温泉ゆう

第1話 戦争と科学

世界に必ず輝かしい未来が待っているとは限らない。






1939年にそれは始まった。


ドイツによるポーランド侵攻が火種となり世界は再び戦火を交える事となった。


汚い炎が街を焼き、冷え切った金属が無感情な火薬とともに人々の命を奪う。


遂には放射能までもが用いられ唯一僕の国日本だけが想像を絶する被害にあったのである。


その後1945年に終止符が打たれ、人類はこの過ちを重く受け止めた。




そしてこの過ちを第二次世界大戦(World War Ⅱ)と名付け二度とこのようなことが起こらぬようにと今日まで努めてきたのである。




が、やはり人間という生命体は愚かな生き物であり、今までも歴史の中で同じことを何度も繰り返してきたのである。


これは真実であり知性と欲をもつ生命体の性と言えるだろう。




今日の世界情勢は第三次世界大戦を起こしそうな勢いで悪化しているのだ。




話は変わるが、戦後世界の科学技術はめまぐるしい勢いで進歩し続けたのだが、2098年の4月1日に世界中の科学者がある声明を世界に出した。


そして一人の科学者がこう述べたのである。




「人類の科学は限界に達した」と、




それは人類に衝撃を与える。そしてこう続けた。




「今まで科学以外の不確定要素を科学的根拠のこじつけで説明してきたがそれは違っていたのである。なぜなら科学自体に欠陥が見つかったのだから。」




人類はみんなエイプリルフールのフェイクニュースだと思った。


そしてその科学者はさらに言葉を続けた。




「われわれは科学という眼鏡でしか物事を見てこなかった。データーを集め、分析しそれをもとに論理的な思考で物事を判断してきた。なぜならそれがその事象に対する真理への一番の近道だと確信していたからである。しかし我々は少し間違っていたのである。」




そしてパーシトニック説を提唱した。


パーシトニック説とは簡単にいうと今まで科学的に矛盾しているとしており、ありえないとしてきた事象はこの世に存在する可能性があるという説である。




この説が唱えられるきっかけとなったのは素粒子の発見である。




そして残念ながら科学者たちは素粒子がどのようにして生まれるか、どのような性質を持


っているのか科学的分析、証明ができなかったのである。


この発見により今まで覆ることのなかったアインシュタインが唱えた相対性理論を否定することとなったのだ。これは科学の土台がなくなったも同然なのだ。


これがすなわち人類の科学の限界を意味し、科学の絶対性がなくなったのである。




こうして長い年月をかけて築かれた科学という牙城は崩れた。




それに反して今日までインチキだ胡散臭いだと散々に言われてきた魔法学や超能力などが1500年


振りに日の目を浴びることとなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る