30.美味い飯
バティがついてきてくれることが決まって本当によかった。
するとバティの腹がなった。
バティはバツが悪そうに顔を逸らした。
時計を見ると1時になろうとしている。
「いやぁすまん。なにせまともな食事なんてのはほとんどとってなかったもんで。」
恥ずかしそうにバティは頭をかきながら言った。
「ならみんなでご飯にしよう。バティたちもついてきて。大した料理は出せないかもしれないけど味は保証する。」
「ほんとか!? そいつは助かる。美味しい飯なんて戦争始まって以来ありつけてないんだ。よしお前らも行くぞ。」
「よっしゃ。」
こうして僕らは食堂に行った。
今日は麦飯のチャーハンが出てきた。
具材は葉野菜が入っているだけだが炒め加減も最高で食感も良い。
バティたちも感じることは同じなようでかきこむように美味しそうに食べている。
「魔物の料理っていうから若干ゲテモノを想像してたけど普通の料理でしかも美味いときてる。この味なら人間の街で店を出しても繁盛するぜ。」
「口に合うようでよかった。あ、そうだ。ねぇ側近。」
「何でしょう? 」
「バティたちが寝れる部屋って用意できる? 」
「5部屋でよろしいですか? 」
「聞いてみる。ねぇバティ。今日寝る部屋は5部屋用意すればいい? 」
そこでバティはちょっと考える素振りを見せた。
「いや、ちょっと広めの部屋ひとつにしてくれ。5人が雑魚寝できるぐらいの広さがあれば助かる。」
「え? ひとつでいいの? 部屋ならいくらでもあるけど。」
「あぁ。ここまでしてもらっておいて失礼な気もするがさっき会ったばかりで一応お前らは敵なわけだからかたまっているほうが俺たちも安心して寝れると思うんだ。」
「そういうことね。わかった。じゃあ側近それでお願い。」
「かしこまりました。用意してきます。」
そう言って側近は食堂をあとにした。
「すまんな。」
「いや、いいよ。敵の本拠地に来て安心して1人で寝れるほどの図太い神経の持ち主なんてそういないから。僕なら絶対無理だし。」
「しかしこの城はデカイな。」
「うん。僕も何部屋あるか把握しきれないぐらい部屋があるよ。あ、そうだ。ねぇこれからさ城下町を一緒に見に行かない? 」
「それって俺らが行っても大丈夫なのか? 人間が通れば少なからず怖がると思うが···。」
「大丈夫。僕や側近が一緒にいるから。それに僕らのくらしもバティたち人間に知って欲しいんだ。」
「なら俺は行くことにするよ。」
後からレンが声をあげた。
「なら俺も。」
そう次々と返事が来る。
「じゃあみんな行くということで。側近が部屋の準備してくれてるからバティたちが部屋に荷物を置いたら出発しよう。」
すると側近が戻ってきた。
さすが側近だ。
仕事が相変わらずはやい。
「部屋の準備が整いましたので案内いたします。」
この城の3階にある僕が元いた世界の教室ぐらいある部屋に側近は案内した。
「ここがお部屋になります。布団は奥に積んであるものを使ってください。トイレはここの廊下をまっすぐ進んだ階段の手前のところにあります。他に足りないもの等あればその都度言ってください。用意いたします。」
「いやぁ。ほんとにありがとう。まさかこんなに広々とした部屋を用意してもらえるとは思わなかった。」
部屋を見るとホコリひとつ落ちていない。
床も少し光沢がある。
普段から掃除が行き届いている証拠だと思う。
「側近。ありがとね。」
そう言うと側近は礼を返してくれた。
「でさ、これからバティたちも連れて城下町を見に行くんだけど側近も来てくれない? 」
「かしこまりました。」
バティたちも荷物を置いて、部屋も一通り見終わったらしい。
「じゃあ町に行こうか。」
僕らは町へと向かった。
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