イップスの正体と向き合い方

 この話はあくまで私の経験と私感ですので、全般的に当てはまる内容ではない事を前提に展開します。

 私はイップス(自分は送球でした)の原因には主に1:相手に対する不信感、恐怖感と2:技術的な欠陥の相互関係によるものと分析します。

 2:についてはYouTube等の視聴や上手な人に聞いたり指導してもらったりすれば補完できます。私もそうしました。1:はそうはいきません。いくら他人に聞いたとて相手を変えることはできません。

 私の場合のそもそもの発症は、ソフトボールを始めて野球の感覚で送球し、サードからファーストに少し速めに送球しました。所詮、お遊び程度のソフトボールですのでファーストの人はお世辞にも上手と言える人ではありません。しかし、送球は胸元あたりに送球したつもりでした。取ってくれるだろうと思いましたが、ポロっと前に落としてセーフになりました。それからファースト送球するのに速さを加減するようになり、今度は送球の正確性が出てこなくなり球が浮き始めました。そのうち投げること自体に自信がなくなりました。長年、野球やソフトボールを続けてきた身としては非常に苦しみました。その中で「この人は自分の球を取ってくれるんだろうか」というある種の不信感が常に出てくるようになりました。

 当時はYouTubeなどなく、イップスなんて上等な用語もありません。送球程度の事について教えてくれる人も周りにいないですし、教えてもらうにも変にプライドが邪魔して、解決したいけどできない日々が続き一時期ソフトボールを控えた時期がありました。しかし、何とかしなければと思い研究しました。

 近年、それがイップスという現象であるという事に気が付きました。ではどうやって克服するか?まずは自分の送球動作を見直しました。先程の「2」の取り組みです。いろんな理屈がありますが、投手にもいろんなフォームがあるように野手にも選手特有の送球動作をしていることに気づきました。最近で言うと、巨人の坂本選手の送球フォームは少し独特です。結果的に送球がうまくいけばいいのですから、いろいろな理屈、投げ方を試して教わった投げ方を根本から見直しました。そして、ある程度これでうまくいくという投げ方を自分なりに見つけました。そうすると、多少自信がつきます。送球時に気を付けることを1、2点頭に入れて、うまくいかなかったときにそれを見直す。その反復をします。そこから「1」の問題を解決しました。

 「1」の問題は自分ではどうしょうもでいない部分が大きいです。送球を捕るのは相手なのですから自分が捕るわけにはいきません。私は考え方を変えました。「自分は捕れるところに投げているんだからエラーするのは相手に問題がある」という結論づけにしました。それは事実なのですから、決して他人のせいにしているわけではありません。明らかに自分が悪いときは謝ればいいだけです。変に気を使うから余計に悪くなるのです。逆に「この球捕れや」くらいの勢いでいいと思います。それには技術的な根拠が必須です。仮に相手が捕れなかったからと言って、その度にくよくよして「自分はやっぱりだめなんだ」と勝手に落とし込むと沼にはまります。だったら、きちんと向き合って自分なりに解決すべきなのです。いくらやってもだめなら諦めるしかありません。要は「自分はやることやってる」と割り切りができるというところまで技術的に改めれば自然と苦手意識も薄れていくと思います。

 確かに相性があり、組みにくい相手もいます。キャッチボールでもやりやすい人とそうでない人がいます。ですが、その際に練習だと思って最初はうまくいかなくても敢えてその人にお願いするようにすれば克服できると思います。今練習していると最初に断れば、相手も同じチームメイトで決して鬼じゃないですから大目に見てもらえるでしょう。仮にどうしてもうまくいかないなーという場合は、大概他にもそういう人がいるものですのでチームとしても考えるかもしれません。

 自分が言えるのはここまでですが、原因は共通していることだと思います。大切なのは諦めないでとことんやってみること、変に気を使いすぎないことだと思います。

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