野球と確率の関係性(2)

前評文の続きで、本線の「野球と確率」について意見を書きたいと思います。

よくあるケースで「無死一塁」の場面を考えます。まあまあな戦術が考えられますが、あなたが攻撃指示を出すとしたら、どんな戦術を選択しますか?前提として回数や点差、打者、走者、相手チーム等の影響は加味しないとします。

考えられる代表的な戦術として「送りバント」「ヒットエンドラン(ランエンドヒット)」「盗塁(ディレイドスチール)」などになるでしょうか。この三つを比較します。目的は「一塁走者を二塁以上に進塁させ、」という事にします。

1:「送りバント」

リスク:打者走者がアウトになる可能性が非常に高い。というより、アウトカウントを1つ相手に与えることを前提にしている作戦。

メリット:まずまずの確率で一塁走者を二塁に進塁させることができる。

2:「ヒットエンドラン」

リスク:失敗するとダブルプレーになる可能性がある。

メリット:成功すると打者、一塁走者ともに生き残り、アウトカウントを増やさず二塁以上を陥れる可能性が出てくる。

3:「盗塁」

リスク:失敗する可能性が高い。走力が求められる一塁走者でないと中々成功しづらい作戦。

メリット:成功するとアウトカウントを増やさず二塁に進塁できる。打者には特別な負荷がかからない。また、成功後の攻撃の幅が広がる。

簡単に言うと、3つの作戦の長、短所は以上になるでしょうか。私が指示を出すとしたら「盗塁」を選択します。

何故なら「盗塁」は通常、他の2つにはないメリットである「ダブルプレー」になる可能性(確率)が「三振ゲッツー」時以外、0%だからです。2ストライク以外の時に指示を出した場合は絶対に「ダブルプレー」にはならない、というメリットに私はフォーカスします。「アウトカウントを増やさない」という事に重点を置きながら攻撃するという考えです。仮に盗塁が成功する比率(確率)を1としたとき、正確な数値は後程考察するとして、おおよその各作戦の成功(失敗)期待値比率(確率)は

盗塁:送りバント:ヒットエンドラン=1:5:0.7・・・①

くらいになるでしょうか。

打者、または一塁走者が(ワン)アウトになる比率(確率)は盗塁を1としたとき

1:9:1(0.7?)・・・②

次に打者、一塁走者ともにアウトになる比率(確率)は盗塁(三振ゲッツー)を1としたとき

盗塁:送りバント:ヒットエンドラン=1:3:5・・・③

くらいになるでしょうか。送りバント、ヒットエンドランともに三振ゲッツーはあり得ますので、それ以外で「ダブルプレー」になると考えます。

<(一つ以上)アウトカウントが増える比率>を考えると、(②+③)/2とすると

盗塁:送りバント:ヒットエンドラン=1:6:3(2.35)

になり、

<盗塁がアウトカウントが増えるリスクが3つの作戦のうち最も低い>作戦である

と考えられます。 しかしながら、作戦は本来「走者を進塁させる」事を目的としていますので、上記①を考えて作戦を実行するのが通例です。しかし、アウトになるリスクを優先した場合は盗塁が効果的なのではないか?という提示です。確かに、盗塁失敗後に打者がアウトになれば元も子もないですが、ヒットエンドランよりも効率的な気がします。さらに打者がアウトになる可能性は100%ではありません。逆に長打出塁する可能性が残っています。送りバント、ヒットエンドランにも「~くずれ」で打者が生きることもありますが。

こんな風に理屈をこねて考えると、「野球と確率」は切っても切れない関係にある事は間違いありません。かの故野村克也氏のID野球とはこう言った事を言っていたのかも知れませんね。そう考えると野球の見方も少し変わるかもですよ。



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