2023年開幕のWBCの展望(2)

 展望については(1)でも書きましたが、今回は侍ジャパンに選出された選手について記載したいと思います。

 まず「野球」と「Baseball」は違うものと考えます。そもそもグラウンド(球場)の作りが違います。例えば、ボストンレッドソックスの本拠地である「フェンウエイ・パーク」は左翼(レフト)側のフェスが物凄く高く「グリーン・モンスター」と名付けられています。日本ではありえませんし、実在しません。(日本には異なる規定がある)そうなると、チーム全体の作戦や投手、打者、守備側の考え方も変わってきます。高いフェンスを設けているのは「相手チームにレフト側のホームランを打たせない」ために設けられている訳で、自チームはそのフェンスを越える打球を打てる打者がいる(特に右打者)という前提からです。と言う事は、レッドソックスのチームカラーは「打力重視のチーム」という事が言えるでしょう。裏を返すと「投手、守備は打力ほど重視しない(弱い)」とも言えるかもしれません。(そのため松坂投手など、日本からいい投手が補強されるのかも?)

 このような環境で行われる「Baseball」はやはり「野球」とは異質のものとも取れます。MLBで鳴り物入りの助っ人外国人が日本の「野球」に馴染めず、数日で帰国、なんて事もよくある話です。MLB入りした日本人選手も同様のことが言えます。

 さて、前置きが長くなりましたが、侍ジャパンの選手の能力というより「野球選手としての姿勢」について書きます。

 以前にも記載しましたが、「野球(特にアマチュア)」は基本的に「人間教育の一環」としての色合いが濃いという事を書きました。そうなると、野球を通して人格形成の基礎を作るという目的もあります。野球で飯を食える選手は全国でもほんの一握りであり、仮にNPBの選手になったとて2軍、3軍で終わってしまう選手はごろごろいるという事は間違いない事実です。侍ジャパンの選手はその頂点として選定されている訳で、理屈から推すと当然「野球選手としての鑑」でなければいけない訳です。

 日本代表になればそりゃうれしいに決まっています。有頂天になるのも分かります。しかし、能力云々の前に「人間、野球人としてどうあるか」という事が先立って大切だと私は考えます。

 前出で「野球」と「Baseball」の異質さを引き合いに出したのは「日本でやってきた野球を通じて何を学んだのか?人間としてどうなのか?」という点です。恐らくアメリカにはこういった考え方はないと思います。外人選手がグラウンドに礼をする選手を見て不思議がるのではないでしょうか。

 「それは単なる日本だけの美徳」と言われればそこまでですが、野球を通じて「表情や態度に自己の不満を出さない」ことや「道具を大切にする」など、野球を通じてでなくても人間として基本的な事項を学びます。ですのでアマチュアだろうが記録を持っている選手であろうが関係ありません。

 実名はあげませんが「審判に不服を言う」とMLBではほぼ退場処分です。人間ですからそういうこともあるでしょうが、ひいきの選手のそういった行為をTVで見た野球少年、少女はどう思うのでしょうか?

 また、逆に試合中にグラウンドに落ちているごみを拾うってどうなんでしょうか?一見すると「おおっ」と思いますが、そんなことを気にする余裕があるならしっかりプレーしては?と思います。道端でやれば別ですが。好感度の点数稼ぎのため?としか思えません。芸能人なんでしょうか。

 今はカメラの画質等がよくなったこともあり、一挙手一投足がリアルタイムに放映される訳ですから、どこからカメラに取られているかわかりません。子供は良いにつけ悪いにつけ、ひいき選手の真似をするものです。私もそうでした。しかし、仮に打たれたからベンチにグローブを投げつけたりでもしたら、子供たちも「やっていいんだな」と勘違いして真似するかもしれません。ですので、今大会の試合結果と同時に「野球選手の鑑」としての振る舞いを期待しています。

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