今回の侍ジャパンに見る選手個人の役割と勝利について

改めて、金メダルに輝いた侍ジャパンの皆様、おめでとうございます。また、お疲れ様でした。

この栄冠は選手や関係者等の日々の努力と「勝ちたい」と言う気持ちの結晶ですね。

国際大会には独特の難しさやゲーム運びがあります。 対戦する投手は殆が初見であり、かつ優秀な選手なので打者は苦労しますし、 対戦国によって作戦も異なります。

状況的にはどの代表チームにもあてはまりますが、その中で勝っていかないといけません。

ここで重要な事は、守備面では

1:投手は余計なフォアボールをどんな場面でも出さない事(攻めた投球の場合以外)

2:投手は常に長打被弾を意識し、常に低目の投球をする事

3:野手のエラーや投手の被弾は誰にでもあるし、それを非難しない事

でしょうか。

どれも当たり前の事の様ですが、それが出来なくなるのが国際大会なのかも知れません。プロの選手であってもです。

攻撃面では、

1:常に走者を1つでも進塁させる事を心掛ける

2:次の打者に繋げるという意識を持つこと

3:凡打を引きずらず、課題を持って次の打席に繋げること

でしょうか。これも至極当然です。


守備上の項目の3についてのエピソードが有ります。

予選の米国戦でホームランを浴びた阪神の青柳投手が稲葉監督の誕生日にハッピーバースデーの歌を歌いました。その役目は坂本選手と菊池選手の発注したものだったと言うお話です。

一見、試合と無関係と思われますが、そう言う「気遣い」が大切だと思いました。野球は「カバー」のスポーツと言える位だと思います。捕手は内野にゴロが行くたびに悪送球に備えてファーストのカバーに走りますね。そういう点です。「カバー=思いやり」なのです。実際に球場に行って試合を見ると分かります。殆ど徒労の様ですが、それを怠ると試合に負けてしまうと私は思っています。

話を戻すと、五輪チームは 一流選手が集まって試合をする訳です。リーグや所属チームが違うので「一体感」が普段より重要になって来ます。

チームとして勝ったものの、ホームラン被弾の青柳投手にとっては自分のせいで負けたかも知れないと気分も曇りがちでしょう。そこを敢えて坂本選手と菊池選手がその役目を青柳選手にやらせる事で、少しでも気を晴らそうと「思いやって」させているのです。

青柳選手は「やっちまった」と思って、その気持ちをズルズル引きずって、次の投球機会も同じ様な結果になるやもしれないと案じているかも知れません。二人の選手は青柳投手の思いを汲んで、気持ちを切り替えさせているのです。優しいですよね。更に試合に臨む心持ちも変えようとしているのです。これは二人が「超一流選手」たる行動です。菊池選手が稲葉監督に金メダルをかけた事もそうです。

技術も確かにそうですが、上記のような事項も技術と同じくらい重要です。一人で野球をやっている訳ではなく、少なくともグラウンドには8人いるのです。一人が弱っていたら周りが助けなければチームとして機能しませんし、相手はそこを突いてきます。どのスポーツもそういう側面を持ち合わせていますね。

攻撃面の1ですが、対戦相手は忘れましたが、ソフトバンクの柳田選手がボールに喰らいついて進塁打を打った場面がありました。リーグ戦などでは豪快なフルスイングが代名詞のような選手が真逆のプレーをしました。それも素晴らしいプレーです。また、決勝戦の坂本選手の送りバントは値千金だと思います。「見えない決勝打」だと私は思います。

チームが勝つために、このくらいのレベルの試合では格好なんてつけている場合では無いのです。

準決勝の韓国戦では韓国の先発投手は軟投派の変化球投手で、初回から変化球、特に120km/h台のシンカーに苦しめられました。

打者の一巡目はどの選手も大振りが目立ち、凡打の山を築いてしまいました。しかし、ベンチから一巡目は自由に打たせる指示があったのではないかと感じました。

2巡目、そのシンカーを各打者が見極め出しました。ここで重要なのは、【引きつけて逆方向に打つ】事だと思っていました。

それを具現化したのは「8番村上」選手です。彼は少し粘って強振せず、レフト前にヒットを放ちました。これこそ、この投手攻略の「御手本」の打撃だと思います。

この韓国の投手は手元でかなり変化する様なので、強振するとバットの芯を外して凡打、見過ぎると振り遅れて対応できないというタイプの投球です。

村上選手はボールを適度に手元まで引き付け、強振しなかった結果だと思っています。その後、先発投手を引きずり降ろしました。確か甲斐選手の低目のボールに喰らいついてライト前ヒットも打ちました。立派なプレーです。

野球は「打った投げた」の単純なスポーツではありません。例えば凄いホームラン打者が4打席ホームランを打ってもソロなら4点です。そのくらいの点差なら満塁ホームランで同点になります。そんなのではチームとしてはいい結果が出ません。

単純に考えれば、攻撃は3アウト迄に4人がどういう形でも出塁すれば自動的に1点得点できます。守備では3人まで塁に出しても3アウト取れば0点です。そういった気楽に考え方を切り替えるという、ある意味の「思考の変換」も大切な「能力」の1つだと考えます。ですが、実践は中々難しいですね。

是非、勝利に繋がる「見えない」ものを野球観戦、自分の試合で見つけてみるのも一考です。野球の醍醐味ですし面白いですよ。


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