「バント」の重要性について

わたしの実体験ですが、高校時代控えでした。その理由は「バントの練習をさぼった」からと後に監督から告げられました。

わたしは背が低いし、レギュラー争いをしていた時の相手が長身でバッティングが良かったので、わたしは彼と競うために「ヒットを打ちたい」と大振りした結果、実績が積めませんした。

というよりも、以前監督から「バントの練習をしろ」と言われたのに手を抜きました。更に上記の理由も相まっての結果となったのです。

わたしのウリは彼より「守備に自信があった」事ですが、監督の意向とは違ったため、控えになったのだと思います。

バントも自分ではできる方だと思っていたので「バントより打撃だろ!」と勘違いしていました。しかし、裏を返すと監督は「バントの場面をわたしに任せたかった」のかなぁと思います。恐らくそうだったのでしょう。

皆さんに問います。「バント」はつまらないのでしょうか?

実際「バントをするのはつまらない」とその当時は思っていました。ひとくちにバントと言っても何種類かありますが、ほとんどは「自分がアウトになって走者を次の塁に進めるだけ」の戦術の一つです。わざわざ自分から「死」ぬのです。なので「犠牲」なのです。

しかし今はそうは思いません。逆に重要な戦術であり、時には試合の流れを左右するんだと時間が経ってから理解しました。

元読売ジャイアンツの川相昌弘という、バントの名選手がいました。最近は阪神タイガースの指導をしたと新聞にありました。巨人では2・3軍監督を歴任した方です。

Wikipediaによると、「通算533本の犠牲バントは世界記録で、通算犠打成功率は9割を超え、「犠打職人」「バント職人」「バントの神様」の異名を持つ」とあります。

正にわたしがリアルに現役だった頃に活躍した方です。私がTVで観戦していた限り、「送りバント」を失敗した場面は見たことが無いくらい上手です。

その姿を見ていたのに、自分は違う事にあくせくしていたという事になります。結果、わたしは「バントについて何もわかっていなかった」という事になります。

川相氏がその時「何で俺ばっかり犠牲なんだよ!」と思ったかどうかはご本人に伺わないとわかりませんが、今の評価ははっきりって偉業以外の何物でもありません。自身の環境上、そういう役目を果たすことになったのでしょう。(詳細はWiki参照)

3つしかないアウトカウントを、相手にわざわざくれてまで走者を進めるという采配は、監督としてはそこそこ悩む場面でもあると思います。アウトが不要な盗塁、ヒットエンドラン、ランアンドヒット、強いて言えばバッテリー間のミスで進塁できる可能性があるのに、敢えて「送りバント」を選択するのです。深刻に悩む事か?と思いますが それぐらい送りバントは重要な戦術です。

現在のNPBの試合を見ていても、現役選手でも「バントが下手くそ」な選手は沢山見受けれれます。そういう目線で野球を見ていると分かります。確かに昔と違って投手の変化球が増えたとはいえ、「練習してないから不得意だ」はプロとしていえない言い訳です。投手であってもバッターボックスに立つ機会があるので同様です。更に言えば「バントが元々できない」選手もいるようです。そういう選手は「バントのサインが出ないくらいの強打者」かもしれませんが、私が仮に監督だったら必要な場面であれば「バント」のサインを出します。

「バント」の成功・失敗は試合の流れを変える力を持っています。更に勝負どころでは「初球でバント成功」時と「スリーバント失敗」で終わるのとでは雲泥の違いです。同じ1アウトを相手にあげるという観点で見てもわかりますね?

恐らく「スリーバント失敗」時は得点する可能性がぐっと下がります。理由は「自身およびチーム全体の士気がダダ下がりするから」です。「あ~あ、やっちまったな!」感に包まれます。

対照的に「初球でバント成功」はチーム全体の士気が一気に上昇してアゲアゲになります。そうなれば次の打者、走者のモチベーションも上がるでしょう。元来、「送りバントは得点の確率を上げる」ための戦術ですから、当然と言えば当然です。

さらに言えば同じ成功でも、初球とフルカウント(バントを2回失敗)での成功であっても意味合い・リズムが違います。初球成功は走者の進塁以外にも攻撃の良いリズムを作ります。フルカウント(2回失敗した場合)では「やっとかぁ~」感が出ます。そんな場面で打者は「やってやるぜ!」と思うでしょうか?初球の成功時よりそう思わないでしょう。

「スクイズ」も同じ「犠牲バント」の種類になりますが、「送りバント」より違う意味で打者の「プレッシャー」具合が半端ないです。これも「送りバント」と同じく、成功と失敗(スクイズの場合は少し特殊で、失敗してもその後成功して士気があがる場合もあります)では得点が絡むので、全く重みが違います。

「バント」とは、ある程度誰でもできるで「あろう」という「成功する必然感」(実際はかなり高度な技術)と「試合を左右する力がある」戦術であるとわたしは考えています。

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