「良い結果」を出すためには自分が何をすべきかを考える

わたしの高校の現役時代のお話です。現役最後の夏の予選前に、ベンチ入り選手全員が学校近くのお寺で座禅をくんだ事が有りました。

最初は「何故座禅なのか」理由が全く分かりませんし、今も「多分そういう事なんだろう」としか言えません。当時の監督は別の高校の校長をされているようで、直接聞こうと思えば聞けますがなかなかお会いする機会がありません。ですので以下は私の想像でしかありませんが書いてみます。

恐らくお寺に連れていかれた理由は「野球には心持ちが大切」なのだ、という事を選手たちに知らせるためだったのではないかと思います。

「良い結果」とは確かにホームランを打つとかタイムリーヒットを打つことやファインプレーをすると言った事だと思います。それは技術的な裏打ちありきの「心の持ち様」がそう言う結果に結びついている、とわたしは思います。(以下で言う心持ちと若干違って落ち着いていると意味合いで)

仮に打撃で言うと、打順が自分に回る直前にウェイティングサークルで待ちますが、自分の打席が得点チャンスの状況になる場合、目の前でその事が明白になっています。その時「自分が打たないと」とか「何とかしてやる」と思いがちになるのではないでしょうか?わたしもそうでした。

勿論それは普通の「心持ち」で否定はしませんし、むしろ事良いだと思います。しかしそれを意識しすぎた時、余計に力んであまりいい結果が出ない事が多々ある様に思いませんか?多分「おれがおれが」の気持ちが強く出てしまうからなのでしょう。

では、そう言った状況で「良い結果」を出すにはどうすればいいか?を考えた時、前出の座禅の話の様に「心を落ち着かせて平常心で打席に臨む」事だと思います。心に余裕を持たせる事とも言えるのかも知れません。そうすると余計な力も入りませんし、考え方を変えると気楽になれます。

個人的な意見ですが、試合で練習以上のプレーが出来る事などほぼ皆無だと思っています。逆に「練習でやって来た事が八割」でも出せたら上出来だと思います。その為に練習を積み上げると言っても良いかも知れません。その八割を出すためには心の「余裕」を持って「広い視野」で臨む事が必要なのでは無いのかと考えます。ここで言う「広い視野」とは打席で「ヒットは勿論、それ以外で点数を入れる方法の引き出しを考えられる状態になっている事」です。

具体的例では、走者3塁ならば(アウトカウントに依存します)「犠牲フライ」「犠牲バント」「振り逃げ」「相手のエラー」「内野安打」「牽制球のミス」「ワイルドピッチ・パスボール」「ボーク」「走塁妨害」など、様々なケースが考え得る訳です。「相手のエラー」などは他力本願なので選択肢には入れられませんが、得点に結びつく可能性があるプレーとして挙げています。

自発的に出来る事で言えば、打者なら「犠牲フライ」「犠牲バント」(ノーサインスクイズ)「内野安打」「パスボール」(「振り逃げ」)になるでしょうか。これらは結果はどうであれ、やり様によっては「ヒットを打たなくても」自分が打席でそういう結果に繋げる事が可能なプレーです。走者の場合も同様で「相手のエラー」「ボーク」「走塁妨害」がそれにあたりますが、「誘発する事」は可能です。(あまりお勧めできませんが、恐らく強いと言われるチームには頭の中にあるはず。走者も頭に入れるべき事項)

なので、何も自分がホームランやヒットを打つ必要は無く(それが一番良いですが)、「得点を1点でも多く入れる為に自分は今何をすべきか」を考えて実行出来れば、仮に自分がアウトになろうとも「チームにとっての良い結果」なのだと思います。それが真の「良い結果」なのだと私は考えています。

クリーンヒットのタイムリーで1点取っても、振り逃げで捕手が後逸してランナーが生還しても同じ1点には変わり有りません。その場合、「振り逃げ」はほぼ三振でアウトに近い状態で、それだけ見ればただの「凡退」でしかありません。しかし、それが決勝点になったらどうでしょうか。三振っぽい結果であるにも関わらず、チーム勝利の「立役者」「ヒーロー」になる訳です。「サヨナラ振り逃げ」は結構あるケースでしょう。

逆に全く試合の勝敗に関係ない所でクリーンヒットやホームラン(この場合、空砲とも言われます)を打つよりも上記の様な「三振アウトっぽいプレー」の方ががよっぽど価値があり、そのヒットやホームランは只の「自己満足」で終わってしまうかも知れません。

なので、自分自身の「良い結果」も大事ですがチームにとっての「良い結果」を多く生んだチームの方が確実に試合での「チームの勝利」に近いと言えるでしょう。

「広い視野」は強豪チームとの試合であっても勝つ事があると言う所謂「ビックキリング」が成立する要因になり得る事項だと考えています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る