第5話 予言者ひもじいの家


[勇者トロ レベル5]

[賢者ドロシー レベル6]

[お金 2110EN]



 宿屋ミネギシで一泊をしたトロ達だったが、翌朝になってもトロのHPは回復していなかった。

 ドロシーは倒れそうになるトロを連れ城下町ステラの片隅にある伝説の予言者ひもじいの家を訪れた。


「おーい、ひもじいちゃん、いるー?」

 バタンと扉を開くとひもじいは驚いた。


「こ、こりゃーっ! いいところでしょうがぁーっ!」

「ひ、ひもじいちゃん、ナニしてんのよ……」

「ドロシーにはまだ早いっ! 帰れえいっ!」

「帰らないわ。 ひもじいちゃん、トロが大変なのよ。助けて」


 ドロシーがトロのHP未回復問題を説明する。


「ほぅ、あの宿屋ミネギシに泊まったとな? ふむ、まあ、ちょっとしたじゃよ」

「風邪?」

「厳密には呪いじゃがの」

「ひもじいちゃんっ! 呪いって、トロ死んじゃうの!?」

「死にはせんが、活力の泉から湧き出る水を飲ませることになるじゃろう」

「活力の泉……聞いたことあるわ。精霊様がそこに住んでおられるのよね?」

「ああ、じゃが、最近は物騒で活力の水を高値で売りさばく輩がいるからのー。精霊様も警戒しておろう」

「もう! どうすればいいのよ!」

「慌てるでない。精霊様にこれを渡すがよい。きっと活力の水を分け与えてくださるだろう」

「ナニ? これ」

古文書こもんじょだ。大切に持って行くんだぞ」

「は、はあー……」

[ドロシーは 古文書? を手に入れた!]


 ドロシーはトロをひもじいに預けると一人で活力の泉に向かって急いだ。


 ドンッ!


「おっと姉ちゃん、どこに目ぇ付けて歩いてんだ?」

「ここよ」

 ドロシーが即答しその場を去ろうとすると、大男が肩を掴んだ。

「姉ちゃんよう? 死にたいのかあ? オレ様を見くびると後悔するぜい?」


[ドロシーは呪文を唱えた! 超速スピード!]

[ドロシーの行動速度が 1000%アップ!]

[ドロシーは気合いを溜めている!]

[ドロシーの正拳突き!]

[大男の股間に クリティカルヒット!]

[大男は倒れた!]

[100の経験値と50ENを獲得!]



「ぐぬぬ……」

「ピ、ピーザ様!」

「大変だ! ピーザ様が倒れた! 僧侶を呼べ!」


 取り巻きがガヤガヤしている隙にドロシーはその場を後にした。

 ドロシーは城下町ステラの東門を出ようとしていた。


「よし、城下町ステラから北に向かえば活力の泉。絶対トロを助けるんだから」



[残金 2160EN]

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