第3話 賢者マッソー


[勇者トロ レベル5]

[賢者ドロシー レベル6]

[お金 2220EN]


 俺たちはダルイーの酒場でジュースを飲んでいた。

(※お酒は二十歳になってから。

俺は十五歳、もちろん、ナタデココアンド、ヨーグルトアンド、フィーチャリング、ココナッツオイルのジュースだ。

えっ? それはジュースじゃないって? 細かい事は気にしない、気にしない)


「ダルイー姉ちゃん、最近、仲間を増やすのもいいかなってドロシーと話してたんだ。いい奴いないかな」

「ひとりおすすめがいるわよ」

「えっ? 誰? 女?」

「男よ、男。名前はマッソー」

「男かあー、まあいい。で、どんな奴なんだ?」

「職業は賢者よ、ドロシーと一緒ね」

「マッソーって私の同級生だわ、きっと。でも、世界一のお笑い芸人になると言って、留学していったはず……」


 ダルイー姉さんは二階に上がると、ネタの練習をしていたマッソーを呼んだ。

 筋肉ムキムキ。学生時代はドロシーと同じ国立魔術学校で魔術を学んだらしい。成績は……お察しの通り……。


「仲間に はーいる!!!」

 死ーん

「ちょ、ちょっと待て、決めるのは俺たちだ。お前じゃないぞ!」

「はーいる!!!」

「ちょ、ちょっと待てって!」

 なかなかしつこい奴だな。

「ドロシー、どうする?」

「私はちょっと……」

「だ、だよなー。俺もだ」


「仲間に はーいる!!!」


「ちょ、だから!」

「マッソー、けっこう頑固なところあるからなあ……」

「賢者ふたりもいらないよな?」

「そうね」

 トロはダルイー姉さんにマッソーのステータスを聞く。

「マッソーのマジックパワーは 0 よ」

「え? 0? どうやってモンスターと戦うんだよ?」

「素手と一発芸」


 しーん


「あと、装備できる防具は海パンだけ」


 しーん


「そしてかしこさ 0 よ」


 しーん


「よく賢者になろうと思ったな……」

「仲間に はーいる!!!」

「をい!!!!」

「トロ、もう仕方ないわ。仲間にしましょう」

「ええー、マジですか?!」


[マッソーがパーティーに加わった!]


[ステータス

ライフ 999

マジックパワー 0

ちから 999

かしこさ 0

まもり 299

すばやさ 29

うん 100

わらい 0

レベル20]


 トロは嫌々ながらもマッソーに「よろしく」と挨拶をする。が――

「やっぱり やーめる!!!」

「「うおおおい!!」」


[マッソーがパーティーから外れました!]

[ダルイー姉さんに紹介料100ENを支払った!]

[お金 2120EN]




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