第15話 ぱふぱふしたいforever

『異世界ウオッチ』に描かれた恐ろしい媚薬。効き目の発動速度に関する描写があった。おっぱいの小さい人ほど効き目が早いというのだ。怯えるあおいをよそにアイリスが続ける。


「それから、おっぱいが大きいほど効き目が強いわ」


『異世界ウオッチ』恐るべしだ。だがそれ以上に恐ろしいのは、そんな媚薬を現実世界に再現してしまったことだろう。


「じゃあ、これは本物の媚薬!」


 ーーコトンーー


 刹那。あゆみの声と、まだ半分液体の残ったコップをテーブルに置く音がした。あゆみが媚薬を飲んだのだ。あゆみのおっぱいの大きさから察するに、効き目はまだなさそうだ。だが、これも察するに充分な効き目がありそうだ。


「私だって、マスターにぱふぱふしたいもの!」


 ハッキリとそう言い切った。あおいは大慌てした。


「自ら水を飲むなんて!」

「水じゃないわ、媚薬なのよ」


 あゆみはそう言って、太一を指差す。しいかが今にもぱふぱふしはじめようとしている。そのときになって、あおいははじめて自分の気持ちに正直になる。


(冗談じゃないわ! 私だって、私だって……。)


 そして、残ったウオーターサーバーの水を一気飲みした。その効き目は、驚くような早さであおいの全身を熱くしていく。気が付いたときにはしいかを押し退けてぱふぱふをさせていた。早い! といっても、ぱふぱふと空気が漏れる音はしない。小さい!


(太一くんのファーストぱふぱふは、私のもの!)


 あおいに続いて、しいか、まこと、優姫、まりえが、太一にぱふぱふをさせる。乱ぱふぱふパーティーの様相と化す。


「こうなっては、仕方ありません。あゆみさん。なるべくゆっくりお楽しみください」


 アイリスはわけのわからない敗北感を覚えあゆみが残したコップの液体をゴクリと飲む。いつもなら積極的にぱふぱふをさせていたアイリスだが、この日は本当はぱふぱふをさせたくなかった。替えのブラジャーを持ってきていないからだ。一日中炎天下を歩きまわったアイリス。ほど良く汗をかいている。だから、アイリスのおっぱいまわりはムレムレなのだ。


 まだ充分に素面だったあゆみだが、まりえのぱふぱふが終わる頃には、大きな瞳を潤ませとろんとした目つきで太一に近付いて行く。そして、今となっては唯一素面のアイリスの目の前で、太一とあゆみがぱふぱふを楽しんでいる。あゆみはアイリスに言われたことなど忘れていた。だが、効き目が充分過ぎで、無我夢中になってぱふぱふさせた。だから、それが終わる頃には、アイリスの瞳も大きくとろんとした目つきになっていた。


「最後は、盛大にどうぞ!」


 かつて、ジェスワッサー王国の国論を2分したという伝説の谷間に、太一は吸い込まれるように顔を埋める。甘酸っぱい若い汗の匂いが太一を包む。だから、部屋の天井も床も四方の壁も、総てが明るく光りはじめたことには気付かず、そのまま意識を失う。他の7人も、太一を追うようにして、目を閉じる。

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