第9話 集合

 パレードの集合場所に1番乗りしたのは、チーム卑裏悪の4人。たかたん達や太一達御一行を出迎える形となる。


「あ、あいつら! チームKOURYUUの!」

「フルメンバーで参加とは!」


 弱い犬ほど良く吠えると言うが、チーム卑裏悪の4人は良く喋る。太一達も良く喋る。ネタを提供したのは、たかたん達。


「それにしても、偶然ですね」

「まさか、あんなところで会うとはね!」

「なんかみんな、強そうだったよ!甲冑装備してたよぅ!」

「身動きが取り辛そうでしたね」

「全く! 本物の甲冑着てくるなんて、どうかしてるわよ!」

「運があれば、ガチャで充分なのにね」

「どんな相手でも、私達は負けられませんわ」

「ま、楽しみまっしょ!」


 太一達御一行は、卑裏悪の4人のことが眼中に無かった。


「太一とか言ったな、あの醜男」

「リア充を見せびらかしに来たのか?」

「くっそう! 返り討ちにしてやる!」

「ドッグファイトは、男子が有利だからな!」


 卑裏悪の遠吠えが、集合場所に響く。だが、それをも搔き消す大音量が、地響きとともに聞こえてくる。


 ーーズシンズシンーー


 太一達より遅れてきたたかたん達だ。本物の甲冑を装備しているから、その重さでものすごい音を立てている。1歩毎に、まるで地震のよう。それが4人もいるのだ。


「さすがに疲れたよ」

「本物の重みってやつさ」

「勝利への1歩だ!」


 1歩1歩、ゆっくりと進んでいた。だから、自然に卑裏悪達とも目を合わせる。


「アレ?」

「たかたんさんだ!」

「それにSAIKYOUのみなさん!」

「おっはーっすぅ!」


 サバゲーの戦士達は、意外に礼儀正しい。紳士淑女だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る