第8話 救国のパレード

『闇の草原』は、8人でまわる。出たところで、アプリに招待状が届く。無論、パレードの招待状である。パレードは、赤白両チームから2組ずつしか選ばれていない。


 白組で選ばれたもう1つの4人組には、太一達のよく知る人物が中心にいた。ズシンズシンという地響きとともに移動するから、当然一眼にもついた。


「ほんと、たかたんさんの凝り性も、度が過ぎるよ」

「全くだ。まさか本物の甲冑を着せられるとは思っていなかったよ」

「けど、お陰でパレードには参加できそうだし、良い思い出になりそうだよ」

「いや。ここまでくれば、勝たなきゃ意味ない……。」


 サバゲーで対戦したチームSAIKYOUのメンバー4人だ。彼等は偶然、この日にここに遊びに来ていた。


「大ベストセラー作家の気紛れにしては、良くできたテーマパークだな」

「俺達、異世界でも非モテだったな。写真は撮ったけど、連絡先の交換は……。」

「けど、最後の見せ場が残ってるんだろ、たかたん」

「あぁ、最後のドッグファイトに勝てば、異世界でのモテ人生が待ってるぞ!」


 チームSAIKYOUの士気は、今日も高い。


 赤組のもう1組も、太一達が良く知る人物達だった。チーム卑裏悪のメンバーだ。これもまた、御都合主義的な偶然に過ぎない。


「俺達、名前変えた方が良いのかな?」

「卑しい裏のある悪いやつ。全然格好良くないよなぁ……。」

「だが、それも今日までだ!」

「そうとも。異世界転生、無双生活が俺達を待っている!」


 パレードである条件を満たすと、本当の異世界に転移することができるという都市伝説。厄介なことに両チームの8人、それをすっかり信じている。だから勝つ気満々なのである。

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