3-2 暁久side.

一緒に勉強した帰り道、空が暗くなって月の明るさが際立つ。


「夏也、話したいことがあるんだ。」


ずっと伝えたいと思っていたことを伝えようと勇気を振り絞る。

俺はあの時、お爺さんと話した時、夏也に想いを伝えようと心に決めた。

伝えられない、そう心の中で想ってからもう随分経った。でももう、あの時の俺とは違う。後悔をしないために、夏也にこの想いを伝えるんだ。


「どうしたの?急に真面目になっちゃって。」


夏也が不思議そうに俺の方を見る。


「今から言うことで夏也を嫌な思いにさせたらごめん。」


心臓が激しく音を立てる。息をするのも忘れるくらい、緊張する。


「あのな、夏也……俺、お前のことが好きなんだ。」


言葉を発した瞬間、喉の奥の方に詰まっていた塊がどこかへ飛んで行ってとてもすっきりした。それと同時に、彼の反応が気になった。

それは、俺の予想していた反応とは少しばかり違っていた。

彼は頬を赤らめ、今にもこぼれ落ちそうなほどの涙を目に浮かべていた。


「ほんとうに?あきひさ……僕のこと……すきなの……?」


彼はゆっくりと一つ一つの言葉を丁寧に確認するように言った。


「あきひさ、僕もずっと好きだった。ずっとこの言葉を伝えたかった。。。でもね、言ってしまったらもう、言う前の関係には戻れないんじゃないかって怖かった。うれしい、ありがとう。」


夏也の目からこぼれ落ちた涙を俺の手で拭う。

彼は涙を流しながらも、嬉しそうに微笑む。俺もそれに応えるように彼に微笑み返す。彼の想いと俺の想いが重なった。そんな奇跡あっていいのだろうか。思ってもみなかった夏也からの言葉が耳から離れない。



「俺もうれしいよ。実は、ずっとこの言葉を伝えるか迷ってた。でもある人が俺の背中を押してくれた。こうして夏也に想いを伝えられてほんとうに良かった。」


心からの想いを伝えられたこと、お爺さんに感謝しなきゃな。

お爺さん、ありがとうございました、俺、想いをちゃんと夏也に伝えることができました。


「僕たち、つきあう……?」


夏也が少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうにそう聞いてくれた。

もちろん答えなんてただ一つ、もう決まってる。


「俺は夏也のことずっと大切にしたい、だから付き合いたいと思ってる。

夏也、俺とお付き合いしてください。」


『付き合う』その単語が俺の頭の中でこだまする。

そうか、俺は夏也と想い合っていたんだ。そう再確認して自分の頬が少し赤らんだ気がする。


「僕でよければ、これからもずっと、よろしくお願いします。」


想いが通じあい、嬉しさのあまり夏也をぎゅっと抱きしめた。

彼も優しいけれど、強い力で抱きしめ返してくれた。


想いが通じ合うことがこんなに幸せなことだなんて知らなかった。

僕はなんて幸せなんだろう。

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