3-1 夏也side.

学校から家に帰る途中、ふと空を見上げる。星が綺麗だ。

大きい小さいはあれど、一つ一つの星は控えめながら「ここにいるよ」と主張をするように光っている。

こんな時に一緒に見たい人、感情を共有したい人、言葉を交わしたい人、全部暁久だ。

それくらい彼は僕の心の中を埋め尽くしている。


「好き」


そうやって言葉に出す勇気はないけれど、明日は「一緒に勉強しよう」と誘ってみようか。彼と一緒に時間を過ごすために。同じ空間で同じ時間を過ごす。それだけでも幸せだ。


僕が誘ったら暁久はきっとまた優しい笑顔をこちらに向けて、一緒にしようと言ってくれるだろう。僕にとってはその笑顔が少し辛くもある。

僕が抱いている思いを彼は知らないだろうから。



_________



「あきひさ〜、今日一緒に勉強しない?」


「おう!しようしよう!どこでする?」


ほら、またこの笑顔。僕を少しだけ辛くさせる笑顔。

でもこの笑顔が、僕は大好きだ。


「う〜ん、図書館の前のスペースでする?あそこ結構穴場なんだよ〜」


「そこずっと使ってみたいと思ってたんだよね〜!俺、今日初めて使う!やった!」


かわいい。これだけのことなのにめちゃくちゃ喜んでる。。。

そこが暁久のかわいいところだ。いつもはしっかりしてるのにたまに出る少し子供っぽいところ、そこがかわいい。


「じゃあまた放課後!図書館前で待ち合わせな!」


「了解!」



最近、暁久を見るたびに頭の中でいろいろな思いが駆け巡る。

かっこいいとか、かわいいとか、好きとか......

それに、暁久が友達と一緒にいると嫉妬をしてしまう。重いやつだと思われてしまうだろうか。


こんな思いを抱いても、彼は僕のことを友達としか思っていないだろうからこの気持ちは全て伝えられない。全部僕の心の中にしまっておくしかない。


でもいつかこの思いを全て伝えたい。

何度そう思っただろう?


勇気がある自分に、僕はなりたい。


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