2-4 暁久side.
お爺さんの言葉を聞いて自分が後悔しない選択はどっちだろうかと考えてみた。いや、考える必要もなかった、答えは最初から決まっていたのかもしれない。好きな人に好きと伝える行為を、俺はしてみようを思う。
「お爺さん、俺、自分の選択すべき道が見つかったような気がします。お爺さんの話を聞いて、やっぱり後悔するのは嫌だと思いました。
でも、俺はお爺さんの選択も間違っていなかったと思います。”幸せを壊してはいけない”、おじいさんはそう言いましたよね。それは相手のことを思いやっての行動で、逆に言えば思いやりに溢れた行動ってことだと思いました。こんなことまだ若い俺が言っても何の足しにもなりませんよね、偉そうにすいません。」
申し訳なさそうに苦笑いしてみせる。でも俺は本当にそう思っている。愛する人を幸せにするために選択した道、それは間違いでは無いと思う。さっきお爺さんが俺に教えてくれたように。
「そんなことないよ。私はこの話を君に初めて話した。ずっとずっと心の奥底にしまっておこうと思ったんだがね。嬉しいよ、君の決心がついたことも、私の選択を肯定してくれたことも。私が話してばかりだったね、ごめんね。」
お爺さんがすこし申し訳なさそうに笑う。
「そんなことないです!僕は今日、お爺さんのお話を聞けて決心がついて、本当に良かったと思ってます。」
「僕も今日は話せて本当に良かった。僕の後悔は間違ってはいなかったのかもしれないね、ありがとう。またどこかで会おう、少年!」
「ありがとうございました!」
感謝の想いを乗せて心を込めてお礼を言う。
おじいさんは俺に優しい笑顔を向け、ひらひらと手を振ってから去って行った。
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