第2話 仮想空間

愛美と、その人が出逢ったのは


「仮想空間」


所謂、ネットゲームサイトである。

愛美が、好んでインして居たネットゲームサイトは

他のプレイヤーと音楽を共有したり

アバターと言う、自分に似せて作ったキャラクターを

操作して、遊ぶような簡単な世界だった。


そこで、出逢ったフロアホスト-


名前は 秀吾(しゅうご)


初めての「寂しそうだね。」って

声を掛けてから、愛美は秀吾の事が気になり始め

出逢った日を境に、愛美はインする度に

秀吾と言う人が作るフロアを探す様になる。


愛美の好きな音楽ジャンルは、ヴィジュアル系。


秀吾の作るフロアも、同じくヴィジュアル系。

自然と、足が向くのは当然の事かも知れない。

そして、何回も何回も秀吾の立てたフロアに

顔を出す様になった愛美の事を

秀吾も覚えてくれる様になり、次第に会話も弾むようになった。


その内、アバターと一緒に作れる

気に入った者同士、行き来することも出来る「お部屋」。


愛美は、毎夜フロア終わりの秀吾を追いかけて

秀吾のそのお部屋に入り浸る様になった。

会話は、自分の事から趣味の事、お互いの生活環境等々。

時に、リアルタイムの会話を交えながら。


相手の名前は、秀吾(しゅうご)

年齢は40代。大阪住み。子供が3人。男性。

最初に分かった情報はそれ位だった。


そして、秀吾は仮想空間に彼女が居る事も

後々判明する事になる。


“良くある話だ-・・・”


愛美は、秀吾の事も彼女さんの事も

知っていたので、応援したい気持ちでいっぱいだった。


でも、秀吾と仲良くなるにつれて

秀吾は愛美の事を“愛人0号”とあだ名を付けて呼ぶようになる。

毎晩飽きもせず話をして、フロアには直ぐ顔を出して

愛美は、“仲良くなったから”そう思って何の気にも留めて居なかった。


“仮想空間でリアルに会う人は居ない”

“仮想空間はリアルには繋がらない”

それが愛美の仮想空間で遊ぶ掟みたいな物だった。


この掟が、愛美の人生を大きく狂わせて行く-…。







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バイとノンケの今宵も月が-愛美の目線- 如月愛美 @kisaragiaimi

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