第72話 かみなり

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 ピカ――――ッ!


 ゴロゴロゴロゴロ――――ズドーーーーン!!


 超大型台風の接近によって荒れ狂う空から、雷がすぐ近くに落ちた瞬間!

 吾輩は一目散にご主人様のもとへと向かって走り寄っていた!!



 ピカ――――ッ!


 ゴロゴロゴロゴロ――――ズドーーーーン!!


 またもや立て続けに近くに落雷し――、


 すりすりー、すりすりー。


 吾輩は必死にご主人様の足下にすりすりを敢行する。


 というのも、世間一般の同輩ねこよろしく、吾輩も雷だけは駄目であるからして――!



 ピカ――――ッ!


 ゴロゴロゴロゴロ――――ズドーーーーン!!


「よしよし、ちび太。怖くないからなー。避雷針ってのがあって、雷はそこに落ちるようになってるんだからなー」


 吾輩を抱き上げたご主人様はそう言うものの。

 怖いものは怖いのである。

 本能が恐怖しているのだからどうしようもない。


 だから吾輩は抱き上げられたご主人様の腕に必死にしがみつく。

 吾輩、死ぬときはご主人様の腕の中と決めているのであるからして――。



 ピカ――――ッ!


 ゴロゴロゴロゴロ――――ズドーーーーン!!


 ビク――ッ!


 一睡もできない不安な夜は、まだ始まったばかりだった――。

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