第71話 なげっと
吾輩はネコである。
名前はちび太。
「チキン・ナゲットの『ナゲット』ってなんだ? どういう意味だ?」
唐突にご主人様が呟いた。
執筆の手を止めると吾輩の方を振り向いて、見つめてくる。
いやそれを吾輩に聞かれても……。
「気になるな……英語か? Getと関係あるのか? 『NOW GET』でナゲットとか? よし、調べよう――」
言葉を武器に夢を描く――作家を目指しているご主人様は言葉にはとてもセンシティブなのだ。
別に「昼飯は鳥が食べたいな。マックナゲット買ってくるか」とついさっき言っていたから、なんとなく気になったわけでは決してない……はず。
これはもう作家として生まれもった、肉食獣の牙のごとく鋭い性分なのであるからして――、
「ナゲットの意味は『金塊』? ……なにがどう『金塊』なんだ? いやそもそも『金塊』の本物を見たことがないからよくわからんな……もしかしたら『金塊』ってチキンナゲットみたいな形をしてるのか? まぁもういいいや。お腹が減ったし、はやく買いにいこ……」
「…………みゃーお」
飼い猫の心、ご主人様知らずである……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます