第62話 ねちがえ

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「ヤバい、寝違えてしまった……」


 目覚めるや否や、ご主人様がベッドの上でぼそりと呟いた。


 今日は休日、お休みの日である。

 寝違えたのならこのまま安静に寝て過ごすのだろうかと、吾輩がそう思った時だった。


 ご主人様がむくりと起き上がった。

 心なしか顔が左向きなのは寝違えのせいで間違いないだろう。


「……今日は貴重な休日だ。休日とは『社会の歯車であることを休める日』という意味だ。つまりしがらみを気にせず、思う存分創作に没頭できる日という意味に他ならない! たかが寝違えごときで、だらだら寝て過ごすわけには、いかない……っ!」


 朝ごはんもそこそこにパソコンへと向かうご主人様。

 

 根性と気概はすでに一流のクリエイターたるご主人様だった。

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