第63話 ぐっすり

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「すやーー……」


 うっすらとエアコンのかかったお部屋で、ご主人様がぐっすりと眠っている。


「すやーー……」


 ご主人様ときたら今日は仕事が休みということもあってか、普段なら起きる時間にもかかわらず、吾輩を腕の中にだっこしてそれはもう気持ちよさそうに眠っていたのだった。


 休みの日であっても変わらぬ時間に起きて執筆活動に勤しむご主人様が、こうまで

ぐっすりと熟睡しているのはかなり珍しいことだ。


 いつもの時間に一度は目が覚めた吾輩であったものの。

 しかし、ご主人様の腕の中でふたたび意識を微睡まどろませていく――。


 いつも仕事に執筆にと頑張っているご主人様を、このままもうしばらく寝かせてあげようという、同居人たる吾輩のさりげない気遣いであった。

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