第60話 もふ~~~~

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「ちび太、もふ~~~~もふ~~~~もふ~~~~~」


 ご主人様が執筆の気分転換で、吾輩をもふりはじめた。


 丸くなっている吾輩のお腹に顔をうずめると、手で頭や背中をなでなでしてくる。


「やっぱエアコンだな。夏、エアコンの効いた部屋で猫をもふる……これほどの贅沢が他にあるだろうか、いや、ない!」


 今日もご満悦のご主人様だったけれど、もうもふり出して5分近くたっている。

 もう十分に気分転換はできたことだろう。


 というわけで――、


「カッ!!」


 吾輩はご主人様の隙をついて、頭を撫でていた手に噛みついた。


「あいてててて!?」

 大げさに痛がるご主人様。


 けれど軽く甘噛みしただけなので、そんなに痛いはずはないのである。


「フッ!」


 もう一回なでようとするご主人様を軽く威嚇すると、吾輩はすたーと立ち上がってベッドの反対側に行って丸くなった。


 もうもふるのは終わりにしろという意思表示である。

 長い時間なでられるのは、むず痒くなって吾輩あまり好きではないのであるからして。

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