第50話 ぜっきょう

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「ぎやぁぁぁぁああああっっっっ!?」


 突如、ご主人様の絶叫が部屋中響きわたった。

 今日は平日。

 両隣の家人は働きに出ているため、苦情が出ないことに吾輩はまずほっとする。


 はてさて、ご主人様にいったい何があったのかというと、


「き、消えてしまった……完成寸前だった最新話が、サイトの通信エラーで全部消えてしまった……!?」


 どうも本日投稿予定の最新話が、全てするっとまるっと消えてしまったようだった。


「おおおオチツケ、落ち着くんだ俺……! と、とりあえず戻るボタンを――押して大丈夫なのか? これ書く前のとこに戻ったりしないか? そしたら完全アウトだぞ? いやでも戻るで入力画面に戻れれば、残っている可能性はある……しかしもし……どうする、どうすればいいちび太!?」


 いや、それを吾輩に聞かれても困るのだが……。


 その後。


 意を決して戻るボタンを押したところ、運よく入力画面がそのまま残っており事なきをえたご主人様だった。


 ご主人様が精魂込めて書きあげた最新話が消えなくて、吾輩もほっと一安心である。

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