第41話 どうきょ(いもうと7)

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「今日からお世話になります(ぺこり)」

「あー、別にそう言うのはいいから。兄妹なんだし」


「ううん、親しき仲にも礼儀あり。こういうことの積み重ねが明るい家庭を築くんだから」

「なにを大げさな……」


「全然おおげさじゃないよ! だってもう、子供だってできてるんだよ……?(ぽっ)」

「そこで頬を染める理由がわからないんだが……」




 ご主人様と「いもうと」が何の話をしていたかというと――、


「じゃあ、わたしが旅行に行ってるあいだ、メダカの世話はよろしくね、お兄ちゃん」

「朝夕2回、餌をやるだけだろ? 別に大したことじゃないさ」


「子供が生まれたら水槽を子供用のに移してあげてね。食べられちゃうから」


 「いもうと」の飼っているメダカの世話を、数日ほどご主人様がすることになったのだ。


 色々と誤解を招くようなむやみやたらと紛らわしいやりとりだった気が、しなくもない今日この頃だった。

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