第40話 せかい

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 今日も今日とて、朝からアルバイトに行ったご主人様をお見送りすると、吾輩は室内を軽く一周り巡回してから、ご主人様のベッドの上へと登った。


 ここが吾輩の定位置であり、そして昼寝ベストポジションなのである。

 吾輩は日がな一日ここで惰眠をむさぼっていた。


 ごく潰しと言うなかれ。

 猫というのは得てしてそういう生き物なのだ。


 そもそも室内飼いの吾輩は、外に出ることがほとんどない。

 たまにご主人様に抱っこされて庭(という名の小スペース)を見学するくらいである。


 ご主人様と同居するこの部屋が吾輩の家であり、生活の場であり、そして生きる「せかい」なのだった。


 ご主人様との思い出に溢れた「せかい」で、今日も吾輩は惰眠をむさぼる。

 ご主人様が帰ってきた時、いつでも相手をしてあげることができるように――。

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