第34話 おもちゃ

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「ほれちび太、新しいおもちゃを買ってきたぞー」


 そう言ってご主人様がとり出したるは、釣竿の先に糸が垂れて、その先にしっぽがついたネコ用のおもちゃ。

 しっぽの先はたくさんの鳥の羽であしらわれていて、実にふさふさ感が高かった。


 そしてご主人様ときたら、釣竿をふることで羽しっぽを吾輩の目の前でぷらんぷらんさせては、吾輩の気を引こうとしてくるのだ。


 まったく、ご主人様ときたら吾輩のことをなんだと思っているのか(ガジガジガジ)。


 何も知らぬ仔猫でもあるまいし、そんな子供だましに吾輩が夢中になると思っているのだろうか?(ゲシゲシゲシ)


 やれやれ、ご主人様の中の吾輩はきっと、拾ってきたころの仔猫のままなのだろう、困ったものである(ぐいぐいぎゅーぎゅー!)。


 はっ!?

 吾輩はいったい今なにを!?


 いつの間にかガジガジと噛んで、ゲシゲシとキックして、ぐいぐい掴んでぎゅーぎゅー引っ張ってしまっていた!?

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