第28話 ぶらっしんぐ

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「どうだ、気持ちいいだろー。うりうりー、ここか、ここがええのんか?」


 ご主人様が吾輩をブラッシングしてくれていた。


 単に生え変わりによって抜けた毛を集めるだけでなく、耳の後ろやアゴの下といった気持ちいいところも、マッサージがてら丁寧にブラッシングしてくれるご主人様。


 これには吾輩も思わず、はにゃーんという感じであった。


 それはもう、

 パタン! パタン!


 尻尾をフローリングに叩きつけては、気持ちよさを最大限に表現しようというものである。


 ちなみに。


 ブラッシングしてくれる時のご主人様は、ほぼ必ずと言っていいほどスランプに陥っている。


 この日も集中力を欠いては、部屋の掃除をしたり散歩に行ったりしていたのだった。


 ブラッシングされるのは大好きなものの。

 ご主人様の調子が出ないことがどうしても気にかかってしまう、心配性な吾輩なのだった。

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