第13話 いもうと2

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 最近、「いもうと」がよく遊びに来るようになった。


「お兄ちゃん、はい、あーん」


 今もご主人様は、手作りの晩御飯を食べさせてもらっているところである。

 「いもうと」はご主人様と違って料理がとても上手なのだ。


「来てくれて家事をしてくれるのは嬉しいんだけどさ、お前だって忙しいだろ? 親から何を言われたか知らないけど、そんな無理しなくていいんだぞ?」


「べーつにー? 何も言われてないしー? 無理なんかじゃないしー? したいからしてるだけだしー?」


 そういって甲斐甲斐しくご主人様の世話を焼く「いもうと」は、まるで結婚したばかりの新妻のように吾輩には見えた。


 そして吾輩はというと。

 部屋の隅っこで丸くなって、薄目を開けつつ半分寝たふりをしながら、そっとそれを見守っていたのだった。


 ご主人様がまんざらでもなさそうなのを見て、嬉しく思う反面。

 少しさびしくもある吾輩だった。

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