第12話 まほうじん

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「できた! 見てみろちび太、すごいだろ!」


 今日のご主人様は朝からずっと、なにやら絵のようなものを描いていた。


「異世界召喚の魔方陣なんだ! アルファベットをベースに独自に考案したオリジナル文字を使って、全てに意味を持たせた自身作だぞ! アニメ化したらこういう細部まで作り込んだ設定が生きてくるんだよなぁ」


 大事な執筆もせず、昼ご飯も食べずに丸一日やり続けた、ご主人様のその驚異的な集中力と根性は賞賛に値する。


 惜しむらくは、アニメ化する以前にデビューすらおぼつかないという話なのだが。


 でも吾輩は、これと思ったことには全力でもって取りくむご主人様が、決して嫌いではないのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る