第5話 いもうと
吾輩はネコである。
名前はちび太。
「お兄ちゃん、もういい年なんだからさ、そろそろ新しい道に行こうよ? お父さんもお母さんも心配してたよ?」
きょうはご主人様の「いもうと」が部屋へと遊びに来ていた。
「いやうん、ほんとごめん……おまえにも心配と迷惑かけちゃって……うん、わかってる。でももうちょっと、もうちょっとなんだ! この前だって2次選考通ったんだぜ? ほらこれを見ろ!」
ご主人様は先日初めて通ったという2次選考の評価シートを自慢げにもってきたのだが――、
「MF〇庫Jは4段階選考なんでしょ! まだ3次選考と最終選考が残ってるじゃん! これ例えばGA〇庫だったら一次落ちと同じじゃない! わたし知ってるんだからね!」
「あ、はい……そうです……すいませんでした」
なぜかやたらとラノベの公募に詳しい「いもうと」の口撃の前に、意気消沈させられるご主人様だった。
「まったくお兄ちゃんがこんなだと、わたしもお嫁にいけないんだから! このままだったら、わたしのことお兄ちゃんに一生面倒見てもらうからね! ちゃんと、せ、責任取ってよね!」
ああ、そういえば言い忘れていた。
ご主人様と「いもうと」は血が繋がっていないのだそうだ。
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