第10話 物語の終わり
部屋にはもう真っ赤な夕日が差し込み部屋を赤色に染めていた。
‘カタン’
部屋の隅で音がした。
「‥‥ふぅー‥」
それを聞いて少女は本から顔を上げた。
「あ、いけない!もう、夕方になっちゃった!」
パタンと本を閉じ、蝋燭を抱えると少女はぱたぱたと階段を駆け降りた。
「‥‥やれやれ、だ。」
部屋の隅で誰かがそう呟いて今まで少女が読んでいた本を手に取った。
「とんだ道草だ。早くこの本を図書館に持って行かなくちゃ。あーあ。」
がさごそと本を大きな鞄に詰め込むとその誰かはふっと空気に溶けるように静かに消えた。あとに残ったのは沈む夕日の赤色だけだった。
神話親和 霜月 風雅 @chalice
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