第23話 白音ちゃん!?

キャンプ当日。俺は7時半に起きていた。何時もなら起こされないと起きれない時間だ。今日は何時もの休日より仕事が多いから早く起こしてもらった。姉ちゃんにな。昨日頼んだら喜んでお願いを聞いてくれた。案の定俺の寝顔を撮ってたけどな!


今日は両親が居て準備の為家中をウロチョロしてるから白音に着替えてから事務所に行くことは出来ない。だから今日だけは白音の服を持って事務所に行くことにした。


「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」


俺は母さんの声を聞いて家を出た。ちょっと余裕があるからコンビニで朝食を買おうと思う。コンビニに入っておにぎり2個とお茶を買った。今日は事務所のキャンプだけど事務所には必ず誰かいるんだよな。特に原画マンさん達がな。何時もお疲れ様です!


俺が事務所に入って原画室に行くと半分くらいの人達が原画を書いていた。俺に気づいた人は誰も居なかったので俺はスルーして白音の服に着替える為に原画室を出ようとしたが俺に気づいた人が居た。


「何方様ですか?」


一条さんが俺を警戒しながらそう言った。そういえば白音の姿ではあった事あったけど素の姿では初めて会うんだった。まぁ今メガネ掛けているからな。一条さんは白音が女装だって事を知ってる筈なんだよね。この前社長が喋っちゃったからな。父さんい聞かれてなくてよかった。


「あ、俺は白亜鈴音です。琥珀白音でもありますけど」


俺がそう言うと一条さんは俺を変な人を見る目で見て来た。まぁ急に男の俺が白音だと言っても信じて貰えないか。でも、一条さんは白音が女装だと知ってる筈なんだけどな。


取り敢えず信じてもらう為に俺は白音の声を出すことにした。多分それでも信じて貰えないだろうからメガネも外すことにした。どうせ白音の姿になるにはメガネを外さないといけないからな。


「あー信じてください」

「白音ちゃん!?」


俺がメガネを外しながら白音の声で言うと一条さんは驚いた顔をしていた。俺は一条さんが驚いているのが面白くて少し笑ってしまった。


「そういえば社長が白音ちゃんは女装だって言ってたっけ。嘘かと思ったけどホントだったんだ」


俺が笑っていると一条さんはそう言って信じられないという顔をしていた。俺はそろそろ着替えてこないと間に合わないな。


「すみません。俺はそろそろ着替えてきます。時間が来てますから」

「あ、はい。それにしても白音ちゃんの顔、声で"俺"って違和感あるなぁ」


俺は着替えてくると言って原画室から出ようとしたら一条さんがそう言っていたのが聞こえた。そういえば白音の声にしたままだった。最近白音の声で話してても俺の地声で話してても違和感なくなってきて、白音の声が地声だと思っちゃう時があるんだよな。それに偶に無意識で白音の声出してる時あるしな。……俺ってヤバくね?


俺は原画室から出て着替える所を探していたが中々無かった。早く着替えないと間に合わなくなる。最悪トイレで着替えればいいんだけどさ。暫く着替える所を探して事務所の中をウロウロしていると後ろから走って来る音が聞こえた。


「鈴音さん!着替える所無いんじゃないですか?」


後ろを振り返ると一条さんが走って来たみたいで少し息を切らしてそう言った。一条さん運動不足ですね。少し走ったくらいで息が上がってますよ。


「確かにありませんでした。だからトイレで着替えてきます」

「なら女子トイレで着替えてください!」


一条さんは必死にそう言った。いや、何で?確かに白音だと女の子だけど俺は男なんだよな。如何すればいいんだよ。


「俺男ですけど?」

「大丈夫だよ。鈴音さんが女子トイレ入っても違和感ないから。それに白音ちゃんが男子トイレに入ったら危ないからね!」


いや、何が危ないんだよ。それに俺は男だぞ?一条さんは男子が女子トイレに入ってきても大丈夫なのか?俺が躊躇していたら一条さんが俺の背中を押してきて無理やり女子トイレに押し込まれた。


「ちょっと!何してるんですか!」

「いいから!」


そう言って俺は女子トイレの個室に押し込まれてしまった。抵抗はしたんだけど一条さんは気にした様子無く普通に俺を押していた。もしかして俺って力ないのか?確かに体重は男子にしては軽いけどさ。


俺は女子トイレに押し込まれてしまったから白音の服に着替えることにした。トイレで着替える事は薄々思ってたけどまさか女子トイレで着替えるとは思って無かった。


~着替え中~


ボクは着替え終わってすぐ個室を出ました。女装を始めてからお姉ちゃんにトイレは女子トイレに入れって言われてました。だから仕方なく最新の注意を払ってトイレに入ってました。最近はボクが女装だと知っている声優さんはボクが男子トイレに入ろうとしたら無理やり止められて女子トイレに入れられていました。


「うん。やっぱり白音ちゃんの服の方がしっくりくるね。メイクは此れかしてあげるから個室の中でやってきたら?」


一条さんはそう言って俺に手鏡を渡してきました。ボクは如何していいか分からなくなって手鏡を見て固まってしまいました。


「ボク、テレビとかで顔出しする時しかメイクしてませんから大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


ボクがそう言うと一条さんは固まってしまいました。何で固まっていたのか聞きたかったのですが時間が無かったので声を掛けてトイレから出る事にしました。


「一条さん。そろそろ時間なのでボクは行きますね。態々着替える所を伝えに来てくれてありがとうございました」


ボクはトイレから出てすぐトイレから一条さんの叫び声が聞こえてきました。


「白音ちゃんってメイクしてないのーーー!?」

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