第16話 お、なんだぁ寝坊かぁ?

「行ってきまーす」


ボクはそう言って家を出た。今日は平日。学校がある日だけど朝から仕事が入ってるから今日は頑張って6時に起きたんですよ。全く何で社長は朝から仕事を入れたんですか。しかも学校がある日。今日は絶対に学校に間に合わないから遅刻することになる。


「おはようございます」

「おはよう白音ちゃん。この前のイベント面白かったよ」


ボクがアフレコスタジオに入ると先に居た声優さんにそう言われた。見に来てたんですか?それにしても眠いです。学校に行く前に社長に文句言いに行きましょう。


『ごめんね~白音ちゃん。朝早くからアフレコしてもらっちゃって』

「いえ、大丈夫です。後で社長に文句言いに行きますから」


隣の部屋からマイクでボクに話しかけてきたのはボクはアフレコしてないゲームの監督の赤見さんだ。CM用にアフレコしてもらいたいらしい。赤見監督はボクの返事を聞いて引き攣った顔をしていた。隣の部屋に居てもガラス越しに見えますから。


『それじゃあお願いします』


赤見監督からの指示は「素の白音ちゃんでいいから」だそうだ。赤見監督に言われた通りにやってもいいんだけど少しボクなりにアレンジしてやってみました。


そしたら赤見監督からOK貰ったからよかった。ボクの他にも声優さんが2人が居てその声優さんが2回ほどリテイク食らったから少し終わるのが遅くなった。何故か知らないけどボクが居たから緊張したらしいです。何ででしょう?


スタジオから出たボクは帰らずに社長室に向かった。社長室に着くと中から話声が聞こえたけど構わずノックして返事が来る前にドアを開けた。中には社長とお兄ちゃんが居た。


「だから!毎回言ってるけど返事してから入ってきてね!」

「あれ?白音ちゃん?学校じゃないの?」


ボクが入ってきて社長はボクが返事が来る前に入ったことを注意してきてお兄ちゃんはボクが居る事を疑問に思っていた。お兄ちゃんの疑問は社長が説明してくれた。


「社長。ボクはその事で来たんですよ」

「如何いう事?」

「何でボクは朝早くからアフレコしなきゃいけないんですか?それに今日は平日ですよ?ふざけないでもらえますか?」

「え?え?」


ボクが少し怒った風に言うと社長は何で自分が怒られてるのか分かってないみたいでした。お兄ちゃんは溜息を吐いていた。その後社長をしっかりしかってから家に帰った。家に帰ってきたらすぐに学校の制服に着替えて学校に向かった。


俺が学校に着いた時間は11時くらいだった。遅刻して教室に入るのはちょっと勇気が居るよな。俺が特に何も言わずにそのまま教室に入って行ったら。ドアを開けた音を聞いてクラスの皆が俺の方を向いた。


「お、なんだぁ寝坊かぁ?」


俺にそう言ってきたのは中村だった。俺はそれを無視して自分の席に着いた。学校には遅刻する事を連絡してあるから寝坊じゃねえし。それから授業を少し受けたら昼休みになった。


「今日は如何したのさ」


昼休みになったらすぐ中村達が近づいてそう言ってきた。青葉ちゃんと星名も近づいてきた。


「ちょっとやる事があってさ」


俺がそう言ったら皆はそれ以降聞いてこなかった。それからは普通に昼休みを過ごした。青葉ちゃんだけは俺が何してたのか大体察しが付いたみたいだった。


放課後俺は急いで帰る準備をしていた。そんな俺を見て青葉ちゃんと中村達が近づいてきた。後で聞いた話だけど俺が急いでるのを見て何事かと思ったらしい。


「そんなに急いで如何した?」

「鈴音今日可笑しいぞ?朝は遅刻したり、放課後は急いで帰る準備して」

「朝はホントにやる事があって遅刻しただけだ。放課後は姉ちゃんが誕生日なんだけどそれの準備とバイトがあるから急いでるんだよ。だからお前らと話してる余裕はない」


俺はそう言ってカバンを持って教室を出た。青葉ちゃんは俺の後を慌てて付いてきた。如何したのかな?


「鈴音ちゃん待って~」


俺が教室から出ると青葉ちゃんが後ろから大きな声を出してそう言った。俺はその声を聴いて振り返った。青葉ちゃんは走っていた。


「何?今急いでるんだけど?」

「いや、一緒に帰ろうと思って」


俺はそれを聞いてまた振り返って下駄箱に向かった。その途中で俺は良いことを思いついたから歩きながら話しかけた。


「青葉ちゃんも姉ちゃんの誕生日の準備手伝ってくれない?」

「いいよ!」


俺はこの後もアフレコしなきゃいけないから時間がないんだよね。姉ちゃんの誕生日の準備って言っても誕生日会をするわけじゃ無くて俺からのプレゼントとケーキの準備なんだよね。


「じゃあ青葉ちゃんにはケーキを買ってきてもらいたくて。お金は後で渡すからさ。お願い」


俺は止まって青葉ちゃんの方に向き直って手を合わせながらそう言った。青葉ちゃんは俺を見て少し驚いているみたいだった。まぁ俺が人に頼み事する事ってあんまりなかったからね。


「分かった!ケーキは任せて!何ケーキを買ってくればいい?」

「ショートケーキでいいよ。それから青葉ちゃんも一緒にケーキ食べようよ」

「ホントにいいの?家族で食べるんじゃないの?」

「大丈夫だよ。今日は両親仕事終わらなそうだから帰ってこれないって言ってたから大丈夫だよ」


本当は家族全員でケーキを食べる筈だったのに朝今日中に終わらないかもって連絡してきて兄ちゃんも今日はドラマの撮影があるって言ってたから来ないらしい。


「夜ご飯も食べてけば?」

「ホントにいいの?」


青葉ちゃんは申し訳なさそうにしながら聞いてきた。歩きながら俺は青葉ちゃんを説得したら夜ご飯を家で食べていくことになった。

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