第12話 じゃあ連れてって
「ただいま」
「お帰り~」
俺が家に帰ると家に居たのは音夏だけだった。俺は玄関からそのまま自分の部屋に行って着替えた。その後リビングに行くと音夏が俺が投稿した動画を見ながらペンタブでイラストを描いていた。
「あ、鈴音お兄ちゃん今日は遅かったね」
「友達とゲーセンに言ってたからな」
「鈴音お兄ちゃん。このイラスト如何かな?」
俺がリビングに入って来たのに気付いた音夏は描いていたイラストを俺に見せてきた。音夏が見せてきたイラストは前に教えた時より上手くなっていた。一昨日教えたばっかなのにもう上手くなっていた。
「いいんじゃないかな?後は光の当たり具合とかをもうちょっと表現できればだいぶ変わるよ。ちょっと貸してみ」
俺はそう言って音夏からペンタブを借りて描いていたイラストの光の当たり具合を修正した。そうすると音夏が描いたイラストより綺麗に現実っぽくなった。音夏はそれを見て声を上げた。俺は自分が描いた部分だけ消してペンタブを音夏に渡した。
「分かった頑張ってみる。教えてくれてありがとう!」
俺はそれを聞いてから冷蔵庫からお茶を出して飲んでから自分の部屋に戻った。自分の部屋で次回使う台本を読んでたら姉ちゃんが帰ってきた。それからは夕食を食べたりお風呂に入ったりしてまた自分の部屋で台本を読んだり漫画呼んだりして気づいたら午前2時だったのですぐに寝た。
「鈴音起きて朝だよ」
そう言って俺を起こしたのは姉ちゃんだった。今日は姉ちゃんなんだね。毎回言ってると思うけど何でスマホのカメラ起動してるのかな?俺の寝顔撮らないでほしいんだけど。俺の顔撮ってそんなに楽しい?
「おはよ。写真撮らないでくれる?」
「おはよう鈴音。嫌だ」
姉ちゃんに写真撮らないでってお願いしたら挨拶の後に笑顔で断られた。何でよ。もう結構持ってるでしょ?俺の寝顔。もう何言っても止めないんだろうな。音夏も止めないだろうし。俺は考えないことにして制服に着替えて一階に下りた。
リビングで朝食を食べて3人で家を出たら何時も通り学校に向かって何時も通り学校で過ごして昼休みになった。今日の午後は鈴木先生の授業だからあんまり昼は食べられないかな?あの人体力使わせるの好きだから。
「嫌だなぁ。筋肉先生の授業」
「俺見学でもしようかな」
「止めとけよ放課後走らされるぞ」
そんな話をしながら中村達が俺の机に近づいてきた。中村達以外にも青葉ちゃんと星名も俺の机に近づいてきていた。毎回思うんだけど何で毎回俺の机に集まるんだろ?
「鈴音ちゃん!土日にコスプレイベントあるんだけど行かない?」
青葉ちゃんがそう言ってきた。土日は特に予定が入ってなかったと思うけど一応確認してから返事した方がいいかな?青樹も来るのかな?雪野さん連れて。ていうか何のコスプレイベントだろう?俺知らないんだけど
「今予定分からないから夜連絡するよ。それより俺土日にやるコスプレイベント何て聞いてないんだけど?」
「あれ?知らなかったの?このアニメのコスプレだよ。それから連絡待ってるよ」
青葉ちゃんが以外そうにそう言ってきた。青葉ちゃんが見せてくれたスマホの画面には姉妹キャラが主人公のバトルアニメのコスプレイベントの告知が写っていた。この姉妹キャラは姉ちゃんと一緒にアフレコしたんだったな。
「あ!そのイベント私も仕事で行くよ!確か主人公役の白亜夏奈さんと琥珀白音さんも出るんだって。しかも唯のコスプレイベントじゃなくてステージでラジオするんだって」
星名がそう言ったのを聞いて青葉ちゃんは俺をジト目で見てきて俺は首を傾げた。そうだっけ?そんな予定入ってたかな?そんな俺たちの余所に中村達は姉ちゃんと白音がイベントに来るって聞いて俺たちも行こうかなって言いだした。そんな話をしてたら昼休みが終わってしまった。これから地獄の授業があるから体操着に着替えたくない。
「鈴音ちゃんが男子の前で着替えて大丈夫?襲われたりしない?」
青葉ちゃんがそう言って来る。それを聞いた中村達は「そんなことしねーよ」って言う。これは毎回体育の時間になると言われることなのだ。俺は男だから男に襲われるなんて事は絶対に怒らない。何で襲われるなんて思ったのか分からないんだけど?
授業が全部終わって放課後。俺が体育で疲れて机の上で死んでいると。俺をめっちゃ揺すってくる奴が居た。今は疲れて全然動きたくないから動かさないでほしいんだけど。俺は体育の次の授業は疲れすぎて授業中ずっと寝ていたんだ。まだ全然疲れとれないけど。
「ねえねえ。今日鈴音ちゃんの家に行きたいんだけど」
俺を揺すってたのは青葉ちゃんだったのか。それにしても元気だね体育あったのに。何で俺の家に来たいんだよ。何かするの?俺これから仕事だから家に来ても誰もいないんだよね。周りに誰もいないことを確認した。俺が白音ってバレない様にね。周りに人は居るけど煩くて俺たちの声なんて聞こえないだろう。
「今日アフレコあるんだけど?」
「じゃあ連れてって」
連れてってって大丈夫かな?多分事務所に連れく事は出来るだろうけどやる事ないよね。原画室は入れられないしアフレコスタジオにも入れてあげられないからなぁ。社長室にでも連れて行けば何か出来るかな?取りあえず社長に聞いてみよう。
「社長に聞いてみるからちょっと待って」
俺はそう言って俺のスマホを取り出した。社長に連絡する時は大体白音用で連絡するから違和感あるけどね。元からコスプレ仲間として連絡先交換してたから持ってるんだよね。社長に連絡して聞いてみたらやっぱり事務所には来ていいけど原画室とかアフレコスタジオには入れないから社長室に居てもいいらしい。まぁ社長もコスプレするから話が合うんじゃないかな?
「事務所に来ていいって。でも原画室とかアフレコスタジオとかは入れないから俺が終わるまで社長室で待っててもらう事になるけどそれでもいいなら。社長は俺のコスプレ仲間だから話が盛り上がるんじゃないかな?」
「え~原画室に入れないのか~まぁしょうがないよね。社長室でもいいから連れてって」
「分かったよ。着替えたら俺の家に来て」
俺はそう言って帰る準備を始めた。青葉ちゃんは中学の時に俺の家に来たことあるから場所は分かるだろう。俺も青葉ちゃんの家の場所は知ってるからな。青葉ちゃんは帰る準備が終わってたみたいで先に帰った。俺もすぐに準備を終わらせて帰ろうとしたら中村達が近づいてきた。
「鈴音。カラオケ行こうぜ!」
「ごめん。今日は用事があるから」
「そうか。悪かったな」
そう言って中村達は自分たちの荷物を取りに行った。俺はそのまま教室から出て家に帰った。家には誰も居なかった。多分もう姉ちゃんは事務所に行ったんだね。俺は青葉ちゃんと合流してからだから白音に着替えてきて青葉ちゃんが来るのを待った。
暫く待っていると家のチャイムが鳴ったので荷物を持ってドアを開けたらそこには私服姿の青葉ちゃんが居た。ボクはドアを閉めて家の鍵を掛けてから2人で事務所に向かった。
事務所に着くと取りあえず社長室に行くことした。事務所に入る時に駅の改札みたいなのに社員証を翳すんですけど青葉ちゃんのは無いからちょっと面倒でした。社長が言っててくれたみたいでアポなしの時より楽ですからね。社長室に行くと社長の他に姉ちゃんと音夏が居た。
「あれ?お姉ちゃんに音夏?何でいるんですか?」
「それはこっちのセリフよ何でここに白音がいるの?アフレコがあるでしょ?」
お姉ちゃんはそう言った後ボクの後ろに居た青葉ちゃんを見てボクはそんな事は気にせずボクたちがここに来た理由を話した。それからお姉ちゃんに社長室に居る理由を聞いたら音夏が声優をやることを決めたからその報告に来たみたいです。そういえば勧誘されてましたね。
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