第8話 これはボクが描いたものですよ?

始まる前に髪の色の話が有ったけど何事もなくアフレコは終わった。社長は最初から最後までずっと居て本当に仕事いいのかと声優陣みんなでめっちゃ心配した。因みに社長はアフレコ終わったらすぐに連れてかれた。


その後はボクは特に無かったけどお姉ちゃんはゲームのアフレコがあるらしい。だからボクとお姉ちゃんは其処で分かれた。愛華さんはアニメのラジオがあるんだって。ボクは暇だったから原画室にイラストを描きに行くことにした。


原画室に行くとボクが何時も使わせてもらってる机に沢山人が集まっていた。しかも何か何時もと違って騒がしいし。みんなは何してるんだろう?しかも原画室にいる半分以上の人が居るから全然机に近づけない。微かに話してる声は聞こえるんだけど周りが煩くて何言ってるのか分からないんだよね。


「何やってるんですか!」


ボクが結構大きな声を出して聞いたら周りに居た数人しか反応しなかった。仕方ないから人の間を縫って中心に行こうとしても中々中心に行けなかった。それどころか押し戻されて一番後ろに戻された。それから偶々近くに一条さんが居た。


「白音ちゃんは如何して人込みから出てきたの?」

「ここボクが使ってる机なんで退いてもらおうと思ったんですけど跳ね返されちゃいまして。一条さんは皆さんが何やってるか分かりますか?」


ボクがそう言うとこうなった経緯を教えてくれた。ボクが使ってる机の周りに人だかりが出来たのは10分くらい前らしい。誰かがボクの机に置いてあったイラストを見つけたらしい。で、何かそのイラストはとても有名だったらしくてそれを聞きつけた人たちが見に来たららしい。ボクの机にそんなイラスト置いてたかな?


「誰のイラストなんですか?」

「動画投稿サイトでイラストを最初から最後まで書くところ生配信してる人のイラストだよ。倍速にして描いてるところの動画も投稿してるらしいよ。私は先輩に見せてもらったことしかないから名前知らないんだけどね」


へえ、そんな人が居るんだね。ボクも見てみようかな?イラストならボクも描くからね。それにボクも偶にそう言った動画は見るからもしかしたら見たことあるかも知れないけどね。お母さんとお父さんは知ってるかな?それより早くボクの机の周りに居る人達を退かさないといけなんだけど如何しよう?


「皆さん退いて下さい!」


また大声を出して退いてくれるように言ってみたけど全然退いてくれない。ボクの近くに居る人は反応して退いてくれるけど中心の方は全然聞こえてないのかな?退いてくれないんだよね。そんなボクを見て一条さんがボクの肩に手を置いて「私に任せてよ」って言ったのでお願いしてみると一条さんは思いっきり息を吸い込んで大声を出す準備をした。


「あ!社長!」


いやいや一条さん。自信満々な顔してますけどそんなのに皆さんが引っかかるとは思えないんですけど。そんなことを思いながら人だかりの方を見てみると皆が一条さんの声に反応したのか周りをキョロキョロして社長が居ないのを確認すると安心して溜息を吐いて声を出した一条さんに怒鳴ろうとしたけど隣に居たボクを見つけて大人しくボクの机から退いてくれた。相変わらず自分の机に戻ろうとはしてないけど。


「凄いですね。まさかそんな方法で退かすことが出来るとは思いませんでした。流石です!ありがとうございます!」

「ど、どういたしまして」


ボクお礼を言うと一条さんは頬を少し染めて返事を返してきた。それを少し心配しながら机に行くと一条さんが言ってたイラストが見えてきた。ボクは一条さんが言ってた様に動画投稿サイトで投稿したり生配信したりしてるんだ。まぁ完全にやってみたかったからだけどね。この前イラストが描きあがる様子を撮影してそれを倍速で動画投稿サイトに投稿したんだ。その為にこの前このイラスト描いたんだよね。


「これここに置いたままでしたか。忘れてました」

「このイラストって描いた本人から貰ったのか?」


ボクがイラストを見て言った事を聞いていた近くに人がそう言ってきた。この人は何を言ってるのかな?ボクが描いたって分からないのかな?ボクの机にあるんだから分かってもいいんじゃないかな?


「何を言ってるんですか?これはボクが描いたんですよ?」

「「「「え!?」」」」


ボクが言ったことに周りの人たちが全員反応して驚いた声を上げた。そんなに驚かなくてもいいんじゃないかな?ボクの絵ってそんなに下手だったっけ?それともイラスト見せたこと無かったっけ?


「でもそのイラストは白銀しろがねさんが描いたものでしょ?」

「はい。そうですね。ボクが描きましたけど?」

「「「「?」」」」


お父さんと仲がいい人がボクに言ってきたのでボクはそうだと返したけど何故か周りの皆さんは頭の上に"?"が見えた気がした。何が分からないんだろう?ボクも皆が何が分からないか分からないよ。ボクは分からなくて困っていると近くに来ていた一条さんが皆が頭の上に"?"を浮かべてる理由を説明してくれた。皆は白銀さんが描いたイラストか聞いてボクが「そうですね」って言ったのに自分が描いたとその後言ったから頭の上に"?"を浮かべたんだって。なるほどね。確かに言って無かったね。


「ごめんなさい。説明が足りませんでしたね。そのイラストはボク、白銀が描いたものですね」

「ホントなの白音ちゃん!?」


ボクが丁寧に説明すると一条さんだけが食いついてきて他の皆はポカンとしていた。何で皆はそんなに静かなのかな?言ったボクが恥ずかしいんだけど。


「そうですよ。何ならここで生配信しましょうか?丁度暇で倍速で投稿する用に描こうと思ってたんですよ」

「「「「おおー!」」」」


ボクが今から生配信しようかって聞くと周りが期待して声を上げた。そんなに期待しないで欲しいんだけど。それにガン見されると緊張して何時も通りに描けなくなると思うんだけどなぁ。一条さんは目をキラキラさせて何をそんなに期待してるんだろう?


「白音ちゃん!やってよ!」

「分かりました。今カメラないので借りてきますね」


一条さんにお願いされたのでOKを出したら皆が盛り上がっていた。そんなに盛り上がらないで欲しいんだけど。今日は元々倍速にするイラストを描く予定ただったからマイク壊れてるカメラしかなくて何処かからカメラかマイク借りてもないといけないんだけど折角だから社長にお願いして綺麗に撮れるカメラ借りて来ようと思うよ。


「社長ーお願いがあるんですけど聞いてくれますか?」

「何?白音ちゃん」

「生配信したいんだけどカメラが無いから借りられないかなって思いまして」


社長がボクに生配信の事を聞いてきたのでボクがここに来るまでの話をしてあげたら興味を持ってノリノリで準備をしてくれた。用意してくれたカメラは少し大きかったけど多分問題ないでしょ。そしてまた社長は仕事をサボってボクの生配信を見に来るって言ってたね。本当に大丈夫?また連れてかれるよ?


それから原画室に戻ってからカメラをセットして準備をした。序でに社長からカメラをセットする三脚も借りてきた。で、今回借りたのは4Kで撮れるんだって使い方も教えて貰ったから結構時間かかっちゃったから皆に何してたのか聞かれて答えるの大変だった。あ、もう一つノートパソコン借りたんだないと配信できないからね。元々今日は配信するつもりはなかったからSNSで社長に会いに行く前に報告したよ。SNSの反応を見てから配信を始めた。


「あーあー聞こえてるかな?はーい皆さんお久しぶりです!今日は突然の配信ですみません。今日のイラストはペンタブではなくて紙に描いてくよ。行き成り始めちゃったからペンタブ持ってきてなかったんだよね。今日のイラストは1枚だけ!それから今周りに他の人が居るので雑音とかが入ってるかもしれないけど我慢してくださいね!それじゃあ初めて行きましょう!」


ボクは何時も配信してる時の女の子っぽい白音用の声とも男子にしては少し高い鈴音の地声とも違う中性的な白銀用の声でそう言った。それからボクは1時間強くらいで配信を終わらせた。

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