第7話 そんな心配しなくても…

朝食を食べ終わってお兄ちゃんが家の紹介を始めた。音夏はそろそろ学校に行く時間だけどボクとお姉ちゃんは待ち合わせがあるからもう少し遅くに出るんだ。お母さんとお父さんは朝食を食べ終わって早く終わらせなきゃいけないカットがあるからとか言ってすぐに出て行った。


「……で、この子が一番下の妹で音夏。この子が夏奈。知ってる人もいるかもしれないけど声優をやってるよ。で、夏奈の友達の白音ちゃん。白音ちゃんも声優をやってるよ。知ってる人いるんじゃないかな?琥珀白音ちゃんだよ。それから……」


そうやってボクたちの紹介をしたらお兄ちゃんは別の紹介を始めた。その後すぐ音夏が学校に行ってボクたちも時間が来たので家を出た。


「それで?何処で待ち合わせしてるの?それと何時に集合とか聞いてないんだけど?」


そういえば言って無かったような気がする。昨日愛華さんから今日の9時に事務所の近くの駅にコスプレ道具を持ってきて集合らしい。コスプレでもするのかな?何のコスプレ持って行こうかと思っていたら今やっているアニメでボクがアフレコしたキャラのコスプレを持ってきてって追加で連絡貰ったから持ってきた。因みにこのアニメはお姉ちゃんもアフレコしてるからボクと同じようにお姉ちゃんがアフレコしたキャラのコスプレを持ってきているからお姉ちゃんにはこれを着てもらうつもりだよ。



お姉ちゃんに待ち合わせ場所とか時間とかを話しながら待ち合わせ場所に行くと愛華さんが変装して待っていた。お姉ちゃんも変装してて、ボクはいらないって言ったのにお姉ちゃんが変装させたのにボクも変装してる。


「愛華さんお待たせしました。待ちましたか?」

「そうでもないよ。それとも今来たところって言えばよかったかな?」


愛華さんはニヤニヤしながらそう言った。何でデートの待ち合わせみたいに言ってるんですか。そんな事よりこれから何処に行くか教えて欲しいんですけど


「これから何処に行くんですか?」

「この近くで今期のアニメのコスプレイベントがあって私は主催者から招待されてるんだけど社長に話したら白音ちゃんたちも誘っておいてって言われたから、白音ちゃんも誘ったんだけどまさか夏奈ちゃんも来るとは思わなかったよ」


愛華さんが言ったことに反応してお姉ちゃんが苦笑いで誤魔化した。それからボクたちはイベント会場に着いて関係者入り口から中に入ってコスプレした。


「お姉ちゃんこれ着ましょう!自分がアフレコしたキャラなんですから」

「嫌だよ!なんでそんな恥ずかしい格好しなきゃいけないの!」


今、ボクはお姉ちゃんにお姉ちゃん用に持ってきたコスプレを着せようとしていた。愛華さんも手伝ってくれてるが中々着てくれないんだよ。自分が担当したキャラなのに。お姉ちゃんが着るコスプレはボクと同じようなコスプレで、アイドルが着るステージ衣装みたいで臍が出ているだけなんだけどなぁ。


「夏奈ちゃん。コスプレしなきゃ。折角白音ちゃんが持ってきてくれたんだから」

「私はそんなこと頼んでないの!」


因みに今ボクの髪は茶色じゃなくて白色なんだ。カラースプレーで色を付けたんだけど元々付けていた茶髪はカラースプレーの色を落とすスプレーを使ってからタオルでふき取ったからね。お姉ちゃんがコスプレするキャラは黒髪だからカラースプレー使う必要ないんだよね。ボクは何時も色々な色のカラースプレーを持ち歩いてるんだ。まぁ4色だけだけどね。髪の長さは今より長くなければどんな髪型にも出来るんだよね。詳しい方法は聞かないでね。


「大丈夫ですよお姉ちゃん。ボクと一緒に居れば違和感何てないですから。それにここには同じようなコスプレした人がいっぱい居ますから」


お姉ちゃんはボクの言うことに大人しくなって渋々コスプレ衣装を着た。コスプレする時はキャラに近づけるためにメイクするからボクは白音の面影はあんまりないみたい。お姉ちゃんはメイクしても少しだけ面影があるかな。因みにメイクはコスプレをする時は何時も自分でやってたから慣れてるんだ。


お姉ちゃんは普通のメイクならしたことあるけどキャラに寄せる為のメイクは初めてみたいでボクがやってあげた。愛華さんはメイクさんが居たようだ。まぁボクたちもやってたら時間がかかるから自分でやったんだけどね。


「さあ、これからイベント楽しもうね!」

「はい!楽しみましょう!」

「はぁ。何でこんな格好しなきゃいけないの」



それからボクたちはコスプレしている人達の写真を撮ったり撮ってもらったりしたんだ。それとイベントを盛り上げる司会したりして楽しかった。イベントに来ていた人たちはボクたち中の人が来ているとは思わなかったみたいでボクたちがステージに出た時にとてもビックリしていた。一緒に写真を撮った人は滅茶苦茶興奮していたね。見てるのは楽しかったよ。


「楽しかったねー」

「そうですね。写真を一緒に撮った人たちの反応は面白かったですね」

「はぁ。やっと終わったよ…」


ボクと愛華さんは楽しく話しているけどお姉ちゃんは何か疲れてるみたいだった。ステージに居た時はとても楽しそうにしてたのに何でそんなに疲れてるのかな?そこまで疲れる事してないと思うんだけどなぁ。


今はイベントが終わって帰ってる途中だ。午後はボクもお姉ちゃんも愛華さんもアフレコがあるから途中で帰って来たんだ。ボク今は髪の色を茶色に直してないから白髪だ。結構ギリギリまで楽しんでたから茶髪にする時間がなかったんだよね。愛華さんもキャラと髪の毛の色を同じにしてたから愛華さんの髪も今は金色なんだよ。


「まさか愛華さんがウィッグ持ってないなんて思いませんでしたよ。偶々ボクが金色のカラースプレー持ってたのでよかったですけど。なかったら如何するつもりだったんですか?」

「いやーすっかり忘れててね。それにしてもよく使わない金色のカラースプレー持ってたね」

「予備で持ってただけですよ」


ボクが言ったことに愛華さんは「何時使うの」って言ってたけど白音の時にしつこく追いかけてきた人が居たから髪の毛の色を変えてやり過ごしたんだよね。その時の事を話してみると愛華さんだけじゃなくて今まであまり疲れて元気なかったお姉ちゃんまで食いついてきた。


「「ちょっと大丈夫だったの!?何もされてない?!」」

「やり過ごしたって言いましたよね?何もされてませんよ」


何故か2人にめっちゃ心配された。何でそんなに心配されるのかな?ボクこれでも男なんだけど?だからそんなに心配しなくてもいいんだけど。そんな話をしながら事務所のアフレコスタジオに着いた。今回は3人とも同じアニメのアフレコなんだ。


「あれ?夏奈ちゃん。その2人は誰?」

「え?愛華さんと白音だけど?」

「「「「え!?」」」」


確かにボクと愛華さんは何時持と髪色が違うけど分からないかな?まぁ髪の色で印象って変わるからね。でも分からな程じゃないと思うんだけどなぁメイクもしてないから素顔なんだけど。愛華さんはメイクしてるみたいだけど何時もと同じなのにね。


「何で分からないんですか?髪の色が違うだけですよ?」

「白音ちゃんが変装したら誰だって気づかないよ」

「あれ?社長何でいるんですか?」


ボクがスタジオで話していると社長の声が聞こえてきた。如何やら音響さんたちが居る部屋に居るみたい。社長の声に反応してお姉ちゃんが社長に聞いていた。ボクも気になる。


「今日は見学に来たんだよ」


見学って社長はそんなに暇じゃないでしょう。社長が居る理由を聞いてると愛華さんと他の声優の会話が聞こえてきた。愛華さんは何してるんですか。


「やっぱり白音ちゃんはどんな髪の色でも似あうよね。それに白の髪も名前に合っていいと思うんだ」

「私もそう思うよ!白音ちゃんの髪って染めたの?」

「染めてませんよ?カラースプレーです」


ボクはそう言ってカバンからカラースプレーを4本取り出した。それと色を消す用のスプレーも出した。ボクが取り出したスプレーの本数を見て驚いていた。それと何で染めてないのって言われた。何で染めないといけないんだよ。それに白に染めたらめっちゃ目立つから外歩けないんだけどそれに学校行けなくなっちゃうから絶対に染めないよ。ボクの白髪が見たいなら言ってくれれば茶髪じゃなくて白髪でスタジオに来ますけど?

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