第6話 何でボクが真ん中?

「何でお兄ちゃんは行き成り家に帰って来たんでしょうか?」

「今まで、行き成り帰って来ることなんて無かったのに何で行き成り帰って来たんだろう?」


ボクと音夏がお兄ちゃんの事を話していると二階から降りてくる音が聞こえた。それとボクは今日何処で寝ればいいのかな?流石に自分の部屋で寝るわけには行かないからなぁ。そんな事を考えていたらお兄ちゃんがリビングに入って来た。


「奈音お兄ちゃんが今日帰って来るって聞いてないんだけど?」

「あー、言って無いからね」

「今日は何しに来たの?」


ボクたち全員が気になってる事をお姉ちゃんが聞いてくれた。それを聞いたお兄ちゃんは苦笑いしながら目を泳がした。何かあるのかな?


「タイミング悪かったね。俺が出てる番組の企画で実家を見せるのが明日あるから先に来たんだよ。勿論母さんたちの許可はとってあるんだけど聞いてなかった?」


そんな話お母さんたちから聞いてないけど?今日会ったのに言ってくれなかったの?それとも忘れてた?でも、2人して忘れるってことあるかなぁ?まぁあの2人だからね。あるかも知れない。


「その収録って何時にやるんですか?」

「朝から夜までやるみたいだよ?まぁ俺がいないときは撮影しないらしいけど」


朝から夜までってボク居てもいいのかな?ボクもこの家の人間だけど今は白音だからこの家に居るのはおかしいんだけど?


「それってボクも居ていいんですか?家族じゃないですけど?」

「あーそれは分からないなぁ。聞いとくよ。でも、明日白音ちゃん学校じゃないの?」


あー明日は学校だけど愛華さんと約束してるから学校行かないんだよね。それから明後日はアフレコで学校行けないから行かないし。まぁうちの事務所は学校の事は考えてスケジュール組もうとしてるけど社長が偶にスケジュールずらすことがあるから学校休まなきゃいけない事があるんだ。明後日はそれなんだよね。


「明日は予定があるので学校には行きません」

「私も明日は学校に行かないよ。白音と一緒だから」


そんな事を話しているとボクのスマホがなった。念のため白音用に買っておいたスマホだからお兄ちゃんにバレる心配はない。まぁ機種は同じだけどね。勿論バレない様に色は違う色にしてるけど。今回鳴ったスマホは白音用で画面を見ると愛華さんからだった。


電話じゃなくてメールアプリだったから見てみた。そこには明日の持ってくるものと集合場所が書かれていた。それとスタンプもね。さっきお姉ちゃんが明日学校に行かないでボクと一緒って言ったから一応愛華さんにお姉ちゃんも行くかもって連絡しといた。暫くしてお母さんたちが帰って来た。


「お母さん!明日の事何で言ってくれなかったの?」

「明日の事?何かあったかしら?」


お母さんはお姉ちゃんに言われても思い出せないみたいだ。それから少し考えてやっと思い出したみたいで「ああ!」とか言ってた。まぁなんとなく分かってたけどね。因みにお父さんも忘れてたみたい。この人たちは何やってんだよ。


それからお母さんがまだ白音の姿でいるボクを見つけてお兄ちゃんとお父さんに聞こえない様にボクに話しかけてきた。お母さんが今のボクの姿を見つけたら弄ってくるのは分かってたことだけどね。


「何で家なのに白音ちゃんの姿なのかしら?気に入ったのかしら?」

「そんなわけないじゃん!お母さんがお兄ちゃんが帰って来る事覚えて教えてくれたら鈴音の姿でいられたのに!」


それからボクが白音の姿でいる理由を話して弄るのを止めてもらった。それからお姉ちゃんとも相談して今日ボクはお姉ちゃんの部屋で寝ることになった。序でに音夏もお姉ちゃんの部屋で一緒に寝ることにしたみたい。因みにボクが今日寝るところを話す前に夜ご飯は済ませましたよ。


1つだけ問題があるとすれば白音のカバンが無いことかな?お兄ちゃんとお父さんに着替えは如何したのって聞かれないか心配だけど。お姉ちゃんの部屋にあるって事で乗り切れるかな?


寝る前になってボクと音夏はお姉ちゃんの部屋に来た。部屋にはお姉ちゃんも居て取りあえず落ち着けた。リビングに居た時はお父さんもお兄ちゃんも居たから気を張ってたんだよね。ボクが使ってるカラースプレーは水では落ちないからまたカラースプレーを使う必要はないんだ。まぁこのまま寝ても枕には色が付かないからいいんだけどね。色を落とすには専用のスプレーを使ってタオルかなんかでふき取れば色を落とせる優れモノなんだ。


「そういえば白音は何で学校行かないのかな?」


お姉ちゃんがとてもいい笑顔でそう聞いてきた。まさかお兄ちゃんの質問でバレるとは思わなかったけど今回は助けてくれたから何の抵抗もしないで正直に話しましょうか。


「アフレコの時に愛華さんに明日暇か聞かれたので学校が無ければ暇ですよって言ったらサボっちゃおうって言われまして勉強教えてくれるならって条件でOK出しました」

「何でOK出してるの」


ボクの説明を聞いたお姉ちゃんが呆てそう言った。音夏はずっと「いいな~」って言ってた。まぁボクも知り合いが学校行かないならいいなって思うからね分からなくもないよ。


「お兄ちゃんにボクと一緒って言ってたから愛華さんに許可はとってありますよ」

「私そんな事頼んでないんだけど?明日は学校行かなきゃいけないから」

「良いんですか?お兄ちゃんにバレると思いますけど?」


ボクがそう言うとお姉ちゃんが悩み初めてしまった。お姉ちゃんは真面目だからなぁ~多分お姉ちゃんはボクと一緒に居るだろうけどね。お兄ちゃんに言っちゃったし、お姉ちゃんは優しいからね。


「分かったよ。お兄ちゃんに言っちゃったからね」


やっぱりお姉ちゃんだね。それから3人で川の字で寝た。ベッドは使わずにね。因みにボクは今この前お姉ちゃんが買ってボクに渡して来たパジャマを着ている。それと何故かボクが真ん中だった。それをお姉ちゃんと音夏に行っても「いいから」って言って相手にしてくれなかった。ボク、今は女装して見た目女の子だけど男だよ?本当にいいの?



翌朝下からバタバタと音がして目が覚めた。時計を見ると7時30分だった。何でバタバタしてるんだろう?隣を見るとお姉ちゃんはもう起きていて、音夏はボクに抱き着いて寝ていた。


「ねえ、起きてくださいよ。音夏。起きてください」


ボクが音夏を揺すって起こすと眠そうに起きた。その後ボクの事をボーっと見てから頭が回り始めてボクを話してくれた。音夏の顔を見ると少し恥ずかしそうにな顔をしていた。


それからボクはお兄ちゃんに見つからない様に鈴音の部屋に行って白音の私服に着替えた。音夏はボクと同じように自分の部屋に戻って行った。着替え終わって部屋から出ると音夏が居たから一緒に一階に降りた。階段から降りてるときに玄関の方を見ると色々な人が居た。何でこんなにいるんだろう?


「今日はテレビ局の人が来るってお兄ちゃんが言ってたじゃん」


そういえば言ってたね。忘れてたよ。リビングに着くと色々な人がドタバタしていた。もう少しで撮影始まるみたいだね。お姉ちゃんとお母さんが朝ご飯を作っていた。暫くリビングに入れなくて突っ立ってたら中に居た人が話しかけてきた。


「あれ?君たちは?」

「あ、その子たちは妹と私の友達ですよ」


その人はボクの事をじっくり見てから何かを思い出したように声をあげた。如何やらボクが声優の琥珀白音って分かったみたいだった。まだデビューしてから1年くらいしか経ってないのに知ってる人いるんだね。


「妹の音夏です」

「友達の琥珀白音です」


ボクたちはそう言ってお辞儀をした。昨日お兄ちゃんがボクも居ても大丈夫かって聞いてくれたみたいで居ても問題ないみたいだ。今から撮影するのは朝食を食べるところらしくてボクも一緒に食べることになった。本当に居てもいいのかな?因みに鈴音が居ない事も説明してくれたみたいだ。

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