第3話 社長室に入る時には返事を聞かずに入る。これ常識

俺は音夏に絵の描き方を教えてから寝た。因みに俺は寝たんじゃなくて寝落ちしてたみたいでベットに背中を預けて寝ていた。音夏は正面で絵を描いてたハズなのに何故か俺の隣で俺に寄りかかりながら寝ていた。取りあえず起こさないと俺が起きれないから起こしますか。


「おーい。音夏ー起きてーおーい」


俺が起こすと少しして起きた。音夏は周りを見渡してから俺を見た。見た瞬間に少し頬が赤くなった。まぁ俺に寝顔を見られたくなかったんだろう。でも、俺たち兄妹だぜ?


「鈴音お兄ちゃんおはよう」

「おはよ」


音夏は俺に挨拶をして部屋から出て行った。俺も着替えて下に行こうかな?そういえば今何時だろう?音夏が隣に居たから少し驚いて時間見るの忘れてたからね。俺が時間を見るともうすぐ8時になるところだった。


「……………って今日月曜日じゃん!」


俺は急いで制服に着替えて下に降りてリビングに入った。リビングには姉ちゃんが私服姿でテレビを見ていた。何でそんなに寛いでられんだよ!


「姉ちゃん!早く制服に着替えないと遅刻するぞ!」


俺がそう言うと姉ちゃんは普通に挨拶をしてきた。姉ちゃんも俺と同じ学校なんだから早く出ないと遅刻しちゃうよ!


「おはよ鈴音」

「おはよ。って挨拶なんてしてる暇ないんだよ!」

「大丈夫よ」

「何で!」


俺は姉ちゃんが普通に挨拶してくるから普通に挨拶を返してしまったがすぐに遅刻しそうなことに気が付いて焦りながら言うと姉ちゃんは落ち着いて余裕そうに答えた。何でそんなに余裕そうでいられるんだよ。


「今日、私たちは学校を休むからね。それと音夏もね」

「俺も休むの!?それに音夏も!」


何で俺まで学校を休むことになってるんだよ。私たちって姉ちゃんと俺だけか?音夏も休みって何でだよ。


「鈴音。今から出かけるから白音の姿に着替えてきて」

「何で!?」

「今から事務所行くから。それとも鈴音の姿がの方がいい?」

「白音の方で行くよ!」


俺はスマホを取り出してメールを見てみたら確かに事務所から朝9時からアフレコするから来てっていうのが書かれてた。これで俺と姉ちゃんは事務所に行く理由が分かったけど音夏が行く理由が分からない。それより音夏が一緒に行くと俺が白音ってバレるんだけど。まぁ音夏が琥珀白音の事を知らないって事があるかもしれないけど今後琥珀白音の事を知ったらバレることになるからそれは避けなければなれない。


「わぁぁぁー遅刻するー」

「大丈夫よ今日音夏は学校休みだから」


音夏が急にリビングに入ってきたら姉ちゃんに止められた。音夏は姉ちゃんに言われたことが分からないからポカンとしてた。まぁそういう反応するよな。それから姉ちゃんが俺に説明した事と同じことを説明した。それを聞いた音夏は何で?って顔をしてた。


「何で私までお姉ちゃんの事務所に行かないといけないのか分からないけど鈴音お兄ちゃんが琥珀白音さんだって事は分かった」

「えっ!?」

「まぁ結構前から薄々気づいてたけど今回ので確信した。ということで。サインください!!」


はい?サインより何で音夏が白音の正体が俺だって気づいたかが気になる。それにサインくださいって白音の事知ってたの?音夏は俺の反応を見てニコニコ笑っていた。


「琥珀白音の事は声優になって結構早い段階で知ってたんだよ?私色々な声出しててファンになったんだ!で、偶に白音さん……これからは白音お姉ちゃんって呼ぼう。で偶に白音お姉ちゃんが出てる放送とか見てた時に鈴音お兄ちゃんに似てるなぁって思ったんだ。まぁ今日まで確信持てなかったけど」


俺は音夏が何故分かったかの説明を頼んでないのに話してきた。言えることは一つだけ、バレかけてるのめっちゃ早い!何で今日の会話で俺が白音だと確信を持ったのかは謎だけど。


「白音の事がバレたのは少し予想外だったけどまぁ誤差でしかないから別にいいでしょ」


誤差なわけないでしょ!結構重要だよ。まぁでもバレたのが両親か兄ちゃんじゃなくてホントによかった。姉ちゃんが誤差って言ってるって事は今日バレなくても音夏には早いうちにバレてたって事だろう。まぁそんなことないと思うけど。


「そんな事よりそろそろ行かないと間に合わなくなるから鈴音は着替えて来て」

「はいはい。着替えればいいんでしょ」


俺はそうって自分の部屋に戻る為にリビングから出た。後ろからは何かの話声が聞こえるけど無視してさっさと白音の姿に着替えてきますかね。カラースプレーするの大変だけど仕方ない。



白音の姿に着替えてきたボクはリビングに戻って来た。音夏は何時の間にか制服から私服に着替えてたみたい。お姉ちゃんと音夏がスマホを見て盛り上がっていた。何見てるの?


「着替えて来ましたよ」


ボクが話しかけたら2人とも少し焦った様子でスマホの画面を消した。まぁ移動中に何見て話してたか聞いてみよう。それより早く行かないと間に合わないよ。


「白音が着替えてきたから行きましょう。迎えが来てるかね」

「待って。私がお姉ちゃん達の事務所に行く理由が分からないんだけど?」


確かにボクも音夏が事務所に行く理由はお姉ちゃんから聞いてないしメールでも書いてなかった。音夏も一緒に事務所に来てほしいって書いてはあったけどね。お姉ちゃんを見てみると今は話す気はないみたいだね。


「私も音夏が事務所に呼ばれた理由は分からないの。後から社長が話すって言ってたけど」


それからボクたちは家を出た。家の前には事務所の車が止まっていてボクたちはその車に乗り込んだ。音夏は少し緊張してるようだ。ボクと音夏が後部座席に座ってお姉ちゃんが助手席に座った。


「では、また後で」

「「また後で」」


暫くして事務所に付いたらボクはアフレコの為にスタジオに行ってお姉ちゃんと音夏は2人で社長室に向かった。お姉ちゃんのアフレコはボクと違う作品なんだよね。まぁボクも自分の分のアフレコが終わったら社長室に行くんだけどね。



ボクがスタジオに付いたらもうボク以外の全員がそろっていた。ボクも急いで席に座った。勿論監督には先に挨拶を済ませてある。ボクが席に座ってすぐにアフレコが始まった。ボクの役は主要人物と結構出てくるモブを何人かやっている。アフレコしてるキャラは全部で7人。今回の声優の中では一番役をやってるかな?


「お疲れ様です。ボクは先に行きますね」

「はーい。お疲れ様でーす。白音ちゃんは明日予定開いてる?」


ボクがスタジオから出て行こうとしたら声優になって半年くらいの時に知り合った五十嵐愛華いがらしあいかさんが話しかけてきた。この人はボクが女装してることを知ってるんだ。それに偶にこうやって誘ってきてくれるんだ。因みにこの人も高校生から声優やってるベテランさんで今は20歳だそう。大学には行って無くてもうボクが所属してる事務所に就職したそうだ。


「明日ですか?ボク学校なんですけど?」

「良いじゃん少しくらいサボったってさ」


愛華さんはそう言って来る。何でこの人はそんなことを言えるんだろうか?あなた社会人でしょうに。確かに少しくらいサボってもいいと思うけどボク、バカだから授業について行けるか分からないんだけど。まぁその前にお姉ちゃんに怒られそうだけどね。でも明日は学校休むことにしよう。


「そうですね。愛華さんが勉強教えてくれるならいいですよ」

「ホント!やった!分かった。私が勉強教えてあげる」


愛華さんはとても嬉しそうにそう言った。何がそんなに嬉しいのだろうか?ボクと何処かに行くだけな気がするんですけどね。


「それで?何処に行くんですか?」

「それは明日のお楽しみに!集合場所は後で連絡するよ」

「分かりました。じゃあボクはこれで」


ボクはそう言ってスタジオから出て行った。愛華さんは明日何処にボクを連れて行く気だろうか?態々学校まで休ませて。何で秘密にする必要があるのかも分かりませんしね。そういえば明日何が必要か聞いてませんでしたね。何するかも分からないので準備も出来ません。愛華さんから連絡来たら聞いてみましょう。


ボクはスタジオから出たら真っすぐ社長室に向かいました。本当は原画室に行って原画マンさんたちの絵を見てみたかったんですけどね。

社長室に着くと丁度お姉ちゃんが社長室から出てきたところでした。


「あ、アフレコ終わったんだね。私は此れからだから音夏の事よろしくね」

「任せてください。それより何の話してたんですか?」

「それは社長から聞いて」


そう言ってお姉ちゃんはボクがさっきまでいたスタジオの方向に歩いて行った。まぁアフレコスタジオはその辺に固まっているんですけどね。

こんなこと考えてる場合じゃ無いですね。早く社長室に入らないと。まずはノックをして部屋に入る。勿論社長の返事は聞かずに入る。これは常識。(※そんな常識はありません)


「まだ返事してないんだけど」

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