自分の足が好きなあの子のちょっとがに股なきれいな足に見えた件
タコ君
自分の足が好きなあの子のちょっとがに股なきれいな足に見えた件
自分の足が好きなあの子のちょっとがに股なきれいな足に見えた件。
「黒タイツいいぞ、履いてみたけど良い…」
どこでだったか、どこからだったか覚えているけど覚えていないことにしておきたい。
青い鳥が文字をつなぎ合わせローカルニュースを一気にグローバルニュースに変えてくれるデバイスで、こんな文章を見つけた。
実際そのニュースはローカルニュースのままであったのだが、どこの誰かもわかっちゃいない彼の話は本当らしい。
元々足フェチな俺は、靴、タイツ、ニーソやスパッツ、もちろん素足も好きだがとりあえず足が好き。むっちりしていても勿論いいが、すらりと伸びる細い足も好き。
この場合は脚が好ましいようにも感じるが、足裏も大変好みである。
とにかく足が好きなのだ。
そんな俺の目にこんな文章が飛び込んできた
俺はその文に食いついた。
が、臆病者の俺は話を聞くだけで特に買い物に出ようなんて思いもしなかった。
だが…
何故だかその文が頭から離れない。
こべりついてとれない。
_________________
「今日はいいけど明日がなぁ…」
テスト期間で、二教科ほどテストを受けては家に帰る週が来た。
帰りの電車は超ローカル、昼間は一時間に1本あるだけなので、待ち時間がどうしても出来てしまう。
そこで、
友人と共に100円均一の店に行くことにしたのだが、イヤホンを探す俺の目に飛び込んで来たのはあるはずのないワイヤレスイヤホンでも、Android勢なのにiPhoneのみ対応のマイク付きイヤホン…という訳でもなく。
「タイツ」
そう、黒いタイツだった。
ソレは丁度数日前に、
俺の目に焼き付いた文にひっころがっていた相当大変なイチモツなわけである。
百均なので勿論100円プラス税。
気付けば財布を取り出しレジの前、
超安物のイヤホンと、タイツを履いたヒトの脚がのっているパッケージの2つの商品を、いかにも
「頼まれてさぁ~まいっちゃうね~」
というような顔で俺は108円×√4の商品を購入し、カバンの中にねじ込んだ。
冷め止まぬ興奮と背徳感で、俺の背中は風でよく冷えてくれた。
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帰宅してからも気が気でなかった。
とりあえず、とりあえず足にアレを纏わせてやりたい。
俺は親が昼間からの出勤であることを思いだし一人、窓の開いた自分の狭い城で笑った。
いってらっしゃいと声をかけ、白い軽自動車が遠くに行ってしまったあと、城の明かりをともさず、日光を取り入れただけのフローリングを、静かにモーターと羽だけが叫ぶ化け物が冷やす。
さて…
汗も引き、体がサラサラしてきた。
これは、あのイチモツを体に密着させる時が来た、という訳である。
俺は乱暴にパッケージの上部のビニールを切り裂き、中からしわの一つも無い状態のタイツを引きずり出す。
黒く耀く化学繊維はまだ化石燃料だった頃の面影をも匂わせる。
まず、何を思ったか俺は匂いを嗅いだ。
しっかり管理されたパック内の空気を吸いこみ、なんだか人工物らしい濃い匂いだった。
俺は迷彩柄の半端丈のズボンを脱ぎ、そのタイツの中に自分の日に焼けて毛の多い足を滑り込ませた。
黒い生地はぴっとりと脚に吸い付き、つま先の爪を引っかけながらも俺の脚をどんどんと受け入れていく。
細かい縫い目のすき間から覗く柔肌はまるで自分の足ではなく、ずぶずぶと脚が潜っていきすべてが真っ黒に染まっていくのが、快楽や欲望に心奪われ染まっていくように思えてしまい、男物の黒いパンツが目立たなくなる頃には、涼しい風さえ逃げるような興奮と恥じらい、そして未だ強く俺の心をかき回す背徳感が自身の胸を焦がす熱エネルギーとしてムンムン滾っていた。
その後俺は、すべすべの自分の足を撫でに撫で回し、様々なポーズをとり自分の足を観察した。写真も撮った。
黒いタイツの伸び縮みを体感しながら、ニヤニヤと笑っていたものである。
色々なポーズをとり、様々な角度から舐め回すように写真を撮った。
足の裏や、足の指が透けている所、つるつるできれいなふくらはぎ…等々。
そして俺の自己満足のローカルニュースを例の鳥に代弁を頼み、グローバル化させた。
定かでは無いが、北は北海道、南…というか日本の地形上どっちかいうと西だが広島辺りの人間で、俺の脚の話を知っている奴がいる。穴あきだらけだがそれでも十分広まってくれやがった。
しばらくして、様々な人から連絡が来た。
「そーゆー道に目覚めたの?」という者もいれば、「あなたの足きれいだねぇ」というヒトもいる。早い話てめぇの脚をオカズにさせてくれというヒトもいた。世の中様々である
さてそんな世の中の広さを噛みしめたあと、友人にも勿論報告した。
自分の中では…ネタと化してる。
楽しかったさ、そりゃ。
____________________
一日経ってまたテストを二教科受けて帰ってきた。俺は自分の足を観察していた昨日とは違い、文に目を通していた。
それは一般に緑色のアイコンであり、誰かと登録しあって通話したり会話(チャット)が出来る優れたもので、使えるスタンプは企業から個人まで作成者も沢山居る。
そしてそのうち一つのグループへ俺は行き、何を伝えるでも無いままただ昔に話していた内容を見返していた。
相手は自分の同級生の女子、高校に入ってからは連絡だけはいまだにしているが、めっきり顔を合わせることは無くなった。
中学卒業の時、彼女に渡された手紙を取り出して俺はぼんやり眺めた。
相手は他に何枚か書いていたらしく、昔からそこそこ話の合う相手というだけの俺なんて転がっている石の中の一つであって、義務教育という監獄で生活していた、この世に生を受けた罪人として、共犯者の一人として見られていただけかも知れない。
だが、文字通り道ばたの石ころ一粒に値する俺という男に当てられた文は俺の中で金剛石のように燦めいた。
ソレが例え、量産型の安い小さな便箋に、定番のセリフと建前が混ぜられているような3行の手紙であっても。
そして彼女の姿を脳内に起こした。
細い目、聞き飽きない声、女子にしては高めの身長。
そして、がに股。
自分の足を眺めた。
黒タイツを履いていた脚は、今日は一応素のままで毛が生えている。
俺はどうにも声を聞きたくなったので、その緑色のアイコンのアプリケーションで電話をかけた。
「やっほ」
『何?なんか用?』
「いや別に、」
『はぁ?忙しいのに用も無くかけて来ないでよ、テスト週間だしこっち』
「わりぃわりぃ…けど、雑談もいい物だろ?たまには」
『はいはい…忠犬のいうことも聞いてやりますか…』
別に彼女の事が好きなのではない、俺はただアイツの声が好きで話すと暇が和らぐ。
というだけだ
と思う。
でも、黒タイツを履いた俺の脚は交錯した思い出の中の彼女に少なからずあった要素であって、自分の口からがに股なんだよねと明かしたくせに茶化したせいで首にハサミを突き付けられたのもまたソレも事実だった。
妙にムカつく。
あんな奴に俺の心のなにがわかるのだ、だけど心奪われ死にたい今この時は、手がキリキリ痛むから、間違いなく現実なのだった。
俺は、自分の足を適当に眺めた。
黒いタイツは棚にしまった。
俺を犬扱いしていい女の一人、ソレが彼女だ
手紙を棚にしまい直し、またニヤニヤしながら、俺は長方形の機械で青い鳥の歌を聴き始めた。
自分の足が好きなあの子のちょっとがに股なきれいな足に見えた件 タコ君 @takokun
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