第264話「後方攻撃作戦」 エルバゾ
マトラ方面軍が担当する中央正面の要塞線に比べればこのダカス山南麓、バルリー北部軍の要塞線は矮小で粗雑。軍規模も中央が十万以上――民兵、傭兵、労働作業員含むが――と推測されるのに対し、こちらは精々が一万規模。再三に渡る中央正面に対する長期挑発活動が敵の極端な戦力の集中を誘った。直前までこちら側には警戒部隊以上の配置は行われていなかった。
バルリー共和国に対しての先制攻撃は厳禁とされてきた。要塞線間の陣取りも、基本的に双方、顔を合わせても大っぴらには攻撃しないようにしてきた。
ここに至って本格的な攻撃を開始したのはバルリー共和国の一部末端兵士による暴走、銃撃事件により我等が労農兵士が負傷したことに始まり、現地部隊が応戦、小競り合いに発展。そして砲火力支援要請に応える形で指定地域への面制圧を開始。それからは砲兵訓練を兼ねるかく乱射撃が開始された。
情報部改め、マトラ共和国情報局によれば潜入工作員による先制攻撃の偽装は予定にあったが、どうも開戦前の陣取り合戦中に家族を殺された恨みを持つ、統制のなっていない民兵若しくは新兵の若者が銃撃を仕掛けたらしい。らしいというのは、詳しく情報を探る前に重砲による面制圧によって該当部隊が崩壊し、またバルリー共和国も自国に非があるような事実は隠蔽するように行動したので真相は闇の中となった。
マトラ方面軍と連携し、ワゾレ方面軍の砲兵は妨害行為程度のかく乱射撃から本格的な攻撃準備射撃に移行し、昼夜通して砲撃を行っている。砲兵の訓練が未了な状態で作戦開始となったため、教導団の方針によりかく乱射撃とこの攻撃準備射撃をその代わりとしている。
新型組み立て式重砲四十門、通常砲と軽砲合わせて八百門が方面軍副司令である砲兵管理部長の権限により各隊の指揮系統を超越し、一括指導の下で集中砲火を浴びせている。マトラ方面軍は教導団も射撃に参加しているのでここより更に多い。
この敵の要塞線はワゾレ方面軍の配置よりも標高が低く砲撃しやすい。中央正面の要塞線に比べて塹壕も並で防御施設は小規模、大砲も少ない。予備の第二線も無い。
睡眠妨害程度を目標にした射撃で敵の要塞は大混乱に陥っていた。要塞の補強、建築作業を妨害する目的で行った射撃ではその防御能力が喪失してしまい、訓練射撃としての目標物に困ってしまい、暫定で敵兵が潜伏していると思われる場所への砲撃に変更された。かく乱射撃の段階で既に大打撃を与えており、攻撃準備射撃に至ってはこれで敵が屈服しそうに見えてきてしまう程。
ここまでの砲火力集中運用は全労農兵士も初めての経験であり、一括指導している当の砲兵管理部長も机上演習こそ済ませているがこれが初めてである。
攻撃準備射撃に加えてマトラの坑道掘削技術を用いて、坑道掘りに優れたチェシュヴァン族と術工兵も配属される地雷工兵が要塞直下に地雷を敷設したのだが、射撃観測の結果発破しても意味が無いのではないかと言われている。工兵としても初の実戦を迎える部隊構成なのでそれでも訓練を兼ねて地雷攻撃は実行される。
教導団のゾルブが指導する実戦で訓練演習を兼ねるというやり方は何とも忙しない奴らしい。
ジュレンカ将軍と協議をする。予定ではもっと敵北部軍の要塞は持ち応えると思われたため、作戦を修正するべきかどうかだ。
「ワゾレ防衛隊選抜隊は北部軍要塞に対して、北と東方向から攻撃するワゾレ方面軍を支援するために南方向から少数部隊で陽動攻撃を行って防御方向を乱して抵抗力を減少させる予定でしたね」
「しかし観測するに、この分では陽動攻撃などしなくても一挙に短時間で制圧出来る」
「そうです。北から攻撃する予定だった二○一独立山岳旅団は予定を変更してバルリー共和国西縁国境の北部封鎖任務に先行して就くべきと考えます。北に敵が逃げない程度に警戒部隊は配置します」
マトラ方面軍より総攻撃は夜間に行う旨を伝える伝令がやって来たが、こちらは昼の内に攻撃しても問題無い状況だ。
「更に先んじてワゾレ方面軍も総攻撃を開始するべきか。行動は全て早めにやっておくに越したことは無いのですが、今回の場合だと独断専行はあまりよろしくないと思いまして」
「バルリー軍が北部軍への攻撃に対応しようとして下手に戦力の再配置を行うと、それが終わる前に、今晩中に敵主力が粉砕されれば散り散りになるだろう。逃げる敵も統率されていないと残党狩りに時間が掛かる。火力投射のみで敵が撤退判断を下すかは怪しいが、歩兵衝撃で撤退判断はし易い」
「どうも目の前にもう獲ってしまって良い目標がいると堪えるのが苦しいものですね。ここは演習も兼ねますので指導要領通りに動いてみましょう。この判断は記録に取っておきます」
「陽動攻撃、不要だ。敵軍は既に弱体の限りで多正面攻撃などしなくても打ち破れる。邪魔になる別正面にいる無用な部隊など同士討ちを避ける配慮が掛かって面倒だ」
「うーん」
リャジニの同胞ジュレンカ。わざとらしく眉根を寄せてみたりと顔の動きが人間臭い。軍服も規定から逸脱して装飾も過剰。最早マトラ同胞だけのマトラではなくなったのだと分からせられる。
「同情は不要だ」
「まあ、そう言わないで」
バルリー人口百万。殺し切れないほどいるのに手が少ししか届かないのが実情。ワゾレ大統領の肩書きがここで酷く邪魔になる。一労農兵士として主攻面には立てず、少数部隊で特殊作戦に加わる程度。
ファザラドに攻め入りたかった。村を追われ、幼少から知る同胞はほぼ殺され、後は一緒に誘拐され、奴隷市場で競りに掛けられ、奴等のために開拓労働、脱走。当時はランマルカ革命の噂すらなく、ラシージ親分も生まれておらず、消耗と撤退の繰り返しだった。同胞を疫病に罹患させて送り出したことが何度あったか。五十年経っても忘れん。バルリー人は乳飲み子から病床の老人まで許さん。
相手の腹が良く読めるのかジュレンカ将軍は自分に、本来は参加する資格も無いのに作戦に加わる機会をくれた。マトラ的な美徳ではない。外の文化の気遣い、美徳だ。
ジュレンカ将軍がパチンと手を叩く。
「やはり南からの陽動攻撃は必要です。北部軍の注意を南に向けるという目的は敵の弱体だけではなく、南部を塞がれたという認識を得させるものです。南部への逃走を抑止、残党狩りを楽に。その分、二○一独立山岳旅団には西縁国境封鎖に注力して貰いましょう」
「なるほど。時間が惜しい、直ぐに出る」
「行ってらっしゃい」
司令部の天幕を出る。空と山を震わせるだけの無数の火砲が、工兵達がしっかりと築いた砲兵陣地に並び、砲兵管理部長を中心に連絡を交わし合い、砲弾火薬を後方から受け取り、故障すれば直ぐに修理、予備と交換して断続的に砲声を轟かせている。つい最近まではこんな山の中を槍や弓に石を持って、大体の数で上位者を先頭に這いずり回っていたというのに。
老年者の時代は終わりだ。ミザレジの奴が老け込むだけはある。自分より若いくせに。
■■■
日が暮れていく。伝令の竜が暗くなり始めた空を飛んで影の点になっている。
バルリー北部軍の要塞南方に配置についている選抜隊に合流する。
山の形は昔から変わらない。岩の位置、小道の流れは早々に変わらない。川の流れも、氾濫する程に雨の降らない西マトラならば大きくは変わらない。森の形は変わっている。木々は成長して、倒れて、死んで変わっている。
知っている名も無い小川の流れを追えば森が変わろうとも地形は分かる。多少の土砂崩れがあろうとも山は簡単に変わらず、変わっても一部だけ。
夜も更けてきて、止まらない遠雷のような砲声に巨大な爆音が混じり、陸軍攻撃行進曲が響いて来て、空には竜が投下した照明弾が落下傘を開いてゆらゆらと落ちる。マトラ方面軍そしてワゾレ方面軍の総攻撃が開始された。流石にここからでは音も届かないだろうが、バルリー南部軍を、百番要塞から古参親衛師団”三角頭”、そして山から降りる一○一独立山岳旅団が攻撃を開始しているだろう。
目標の要塞は既にワゾレ方面軍による訓練も兼ねた過剰な砲撃によって崩壊している。塹壕に立て篭もり、要塞外に避難している者達はいるようなので完全に消滅したわけではない。
選抜隊百五十名で運んだ百発の新型火箭を、地面に設置した筒型発射機から、要塞の外れに待機している敵兵に向かって発射する。
噴射煙を出して尾を引いて比較的直進して狙った方角に飛び、炸裂。爆圧が敵を潰し、耳を壊し、弾殻片が引き千切る。砲撃の恐れから密集隊形こそ取っていないが、闇夜と孤独は辛いらしくそこそこに固まっていた敵部隊の一部を粉砕。
新型火箭は竿を廃止し、代わりに偏流翼をつけて弾頭を回転させて安定飛行する。夜目が利く者が――照明弾で位置は把握している――敵部隊の大体の位置を狙って飛ばせば大体当たる。今までの、陸に揚がった魚のように跳ね回る火箭とは命中率も飛距離も段違いだ。かなり安全な彼我距離から発射している。
これはまだ鍛冶屋が見本を作っている程度でこの百発くらいしか在庫はないが、いずれ帝国連邦軍の火力の一部を担うだろう。
ただ命中率の向上は素晴らしいのだが、火箭の運用方法は大規模一斉発射による面制圧にある。また廃止されている竿はのた打ち回って敵を撲殺する役目も担っている。その出鱈目な挙動が敵の神経を侵して混乱させるのが狙いでもある。
新型火箭が続々と発射される。狙った場所に弾着し易いが、早発遅発不発の発生率は旧型と同じ程度。遅発不発でも旧型は竿がのた打ち回って敵に打撃をわずかでも与えていたが、新型は地面に飛び込んで多少転がるだけ。弾頭爆発時における殺傷力に関しては全く同じ。
大砲と違って一人か二人で運べる筒型発射機から、地形はそれ程選ばずに続々と発射できる点は素晴らしい。新型火箭自体も、用途によるが今回使った型は小銃、野外装備に加えて一発余分に持っても行軍可能な重量だ。軽歩兵同然の編制でも瞬間的に砲兵並みの火力と長距離射撃能力を獲得出来る点は評価出来る。
竿が無い分軽量で小型、命中率が高くて飛距離が伸びている。旧型火箭に代わる兵器であろうが、運用の研究が進まないとどうもわざわざ生産工場を改造し、偏流翼という他の兵器と互換性の無い部品を作る手間をかける程の物と判断出来るかは難しいかもしれない。
新型火箭による爆撃を行いつつ、南へ逃れてくる敵兵を部下が四十七年式狙撃施条銃で狙い撃って倒す。追撃はせず、逃げてくる敵だけ狙い、逃走経路を限定させて散逸を防ぐ。
ほとんど崩壊してしまった北部軍の要塞へワゾレ方面軍が雪崩れ込む。毒瓦斯弾で制圧してから防毒覆面をつけた歩兵が突入し、塹壕や崩れの請った建物に手榴弾を投げ込み、火炎放射器で炙ってから突撃兵が突入。その他、重装備をしている歩兵の武器の数々が活躍する見込みであったが敵の抵抗は弱く、足場の悪い地形を素通りしている状態に近い。
バルリー北部軍の主力はこの要塞に駐留し、今ほとんど抵抗力を失った。だがまだこの周辺には町があり村があり、住民や警備の民兵が多数存在している。
ワゾレ方面軍は最優先にバルリー共和国西縁国境を封鎖する任務を帯びるが、五万の重装備の大軍を一塊に縦隊一列で動かすことは不可能。先陣を切って国境線をなぞって行く先導部隊、その後に続いて国境を閉じる封鎖部隊、バルリー軍と国境外の軍の動きに合わせて動く予備部隊、残党狩りをする掃討部隊に大きく分けられ、これからそれぞれの任務を果たすために一気に散り始める。
主力軍の補佐程度に、バルリー人の国外脱出を防ぎ、退路を限定する後方攻撃部隊が編制されている。ワゾレ防衛隊選抜隊は北部の担当。指定された橋を落としたり、川にある船を破壊する他、道路の封鎖を行う。封鎖は一時的な場合があり、作戦段階によって位置が変わる。
次はこの北部地域と中部地域を繋ぐ回廊地域を封鎖する。ワゾレ方面軍の残党狩りを支援する。
さして機密性も無ければ作成費用も高くない、発射が終われば邪魔なだけの筒型発射機を放棄し、ワゾレ方面軍の邪魔になる前に南へ、逃走してくるバルリー兵を銃撃で追い払いながら進む。
■■■
北部と中部を繋ぐ回廊部分には川が流れる谷が横断している。この川は浅くて水量も少なく船を使えるほどではない。
崖続きのこの谷だが、崖が消えて勾配が緩やかになっている箇所が一つある。そこには橋が架かって主要街道になっている。この界隈で車両が南北に移動出来る広さがある道はここだけ。西へ川沿いに道を下ればシラージュ地方に出るので、国外逃亡を図るバルリー人もここに集る。
今でこそここは最優先で守られるべき要衝と化しているが、平時は一般人が多少通りかかる程度の山奥の田舎道。まともな防御施設も無い。前線からもやや遠く、新造されてもいない。この界隈は畑を作る土地も無く、伐採した木材を流す川も無く産業貧しく人口はわずか。
橋の修理部品を納めておく倉庫がある、橋の脇にある小さな集落に向かう。
集落の人口は二十人いるかいないか。砲声の音を聞きながら外で見張りをしている人間に、バルリー兵の格好をして、ランプを手に近寄る。
「やあ、聖シュテッフの加護を」
「ああ、聖シュテッフのご加護を。どうなんだい兵隊さん、さっきまでの雷じゃないよな。どうなってるんだい? シラージュに逃げるか中部に逃げるかどうかって考えてたんだが」
「我が軍は善戦してるさ。ちょっと、見回ってもいいかい。定期巡回だよ」
「ああ。妖精共は忍び込んでないと思うけど、あの憎たらしい泥棒ネズミはどうだか」
見張りの脇を通り過ぎ、集落全体を観察。窓は締め切り、家の中で怯えている雰囲気。短剣で背後から、見張りの口を塞ぎつつ脇腹を刺して抉る。
口笛を吹いて集落を囲んでいた部下を呼び寄せ、合図で一斉に全件の扉を蹴破って突入、簡単に皆殺しに出来た。
奪取した集落から荷物、荷車を持ち出して橋の脇に防御陣地を築く。
迅速に行動したつもりだが全速力で北から逃げてくるバルリー人がいるので、道の脇の森に待機している部下が狙撃したり、騎馬なら縄で引っ掛けて落馬させてから殺している。余裕があれば殺したバルリー人の顔を剥いで、腹から内臓をぶら下げた状態で道路に飾り、この道を精神的に通り辛くする。手間が掛かるというのににゃんにゃんねこさんだとかやるのは若い連中だ。
時間が経つ度に南下してくる敵が増える。羽虫が集る松明を掲げ、避難民を連れる民兵の集団が飾った死体を見て悲鳴やら何やら上げながらやって来た。
正規兵は一応殿を務めている様子だが、避難民を掻き分けるように暴れて逃げようとして混乱をもたらしているのは傭兵だ。
橋の脇の防御陣地から集団を撃って足止めをする。優先目標は勿論、銃を持った敵兵、松明の先導者。群衆に揉まれて一度倒せば踏み潰され、落ちた小銃を戦う意志のある誰かが暗闇の中から拾い上げるのも至難。松明は明るく見え、拾い上げる者もいるが拾った瞬間に撃ち殺せば灯りが狙われると悟り、恐慌状態に陥って揉み合い、転倒して踏み潰される。銃弾一発で複数仕留めるよう精神効果を狙うのが良い。
森の中には罠を仕掛け、待ち伏せしている部下がいるので道から外れても仕留める。ただ携行弾薬量に対して敵が多いので射撃目標は選ぶ必要がある。白兵戦を仕掛けるには数が多い。
先導部隊の騎兵隊でもあの集団に襲い掛かってくれれば良いが、まだ早いか。
群衆の中に軍服の正規兵が増え始める。避難民に壊走した軍が追いついた慌しさより、退路妨害の報告が早期に届いて対応しに来た様相。大暴れしていた傭兵達も多少従順になり始める。応急的だが、部隊の垣根を越えて一斉射撃隊列が組まれ始める。
即席防御陣地は多少の銃撃は防ぐ。こちらは小銃で勝り、倍する敵でも負けないが悪戯に被害が出る。要衝を堅守する戦力は無いため、後退時期の見極め時か。
そろそろワゾレ方面軍の追撃部隊が到着する頃かもしれない。それを見込んでここで封鎖を解くと逃がす人数が多すぎる。またこの要衝に殿部隊が居座ってしまうとワゾレ方面軍の国境封鎖機動が遅れる。応急的な陣地でも築かれれば小銃程度で破るのは難しくなる、大砲が素早く配置出来るわけでもない。
射撃戦を行いながら避難民の増大、渋滞を観察するに、後背を突かれだしたら民間人に被害覚悟で走り出せと指示を敵将校が出してもおかしくない。
圧力を減じる策を取る。森へ向かう。
森から静かに、道沿いに出る。
「そっちはダメだ! こっちに行けば吊り橋があるぞ、迂回しろ!」
精神的に限界に近づき、正規兵が血を流して努力しているが状況が開けない。そこに嘘か真か迂回路の話。一部がこちらの誘導に従い出す。人の流れに釣られて群衆が分かれる。護衛のためか怖気づいたか傭兵と正規兵も一部伴う。
「兵隊さん、こっちに道があるのかい?」
バルリー語は訛りなく、必要に迫られて話せる。
「地元の猟師が使う。綺麗じゃないぞ」
「助かった!?」
「さあな! 死にはしない」
自信有りげにそう喋ってみせる。
「そっちに妖精共いないのか!?」
「撃ってきてないからいないだろ」
この耳はお前等バルリー人が遊びに切り落とした。切り口は雑だが、暗がりでは人間に見えてしまったか?
先導して吊り橋まで誘導する手間は取らない、面倒だ。ある程度集団を引き込んだら手元のランプを後方へ放り投げ、消える。
悲鳴。
これで圧力を減じた。
橋の防御陣地まで戻る。選抜された射手が性能に勝る小銃で、暗がりの防御陣地から、照明に照らされた密集隊形を取る雑兵と射撃戦、問題なく持ち応えている。
群衆の上空で竜が吠える。ただうるさいだけで何の実害も無いはずだが、この夜には恐慌の効果があった。あれは後方攻撃隊の状況を見るために総統秘書アクファルが飛ばしている竜跨兵の一部だ。
馬の嘶き、蹄の音、後装式小銃による激しい銃声。追撃の騎兵隊が到着。
森に逃がした分はいるが要衝の確保に成功。
これにて北部における、当選抜隊による後方攻撃成功。ワゾレ方面軍、掃討部隊の指揮系統に入り次第、統制の下に残党狩りに従事する。
……ファザラドが遠い。
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