学校というのは極度に閉鎖的な空間だ。これは日本のどの地域でも変わりがない。例え学校の所在地が都会の、先進的な気風溢れる地域であったとしても、部外者がその中を完全に見通すのは限りなく難しい。

 例えばこれが私立の進学校だったりするなら話は変わってくるのだろう。だがそういった場合でなければ、学校を選ぶ際にはその地域に住む家族にとってもっとも近い場所を選択することが多い。すると必然的に生徒もその地域の気風を持ち合わせていることになる。勿論これは当人たちにとっては見知った顔同士なので、結束しやすい。

 今まで私は幾つかの学校を渡り歩いてきたが、どの学校においても、私は部外者の立場に置かされた。爪弾きにされるわけでもないし、まして虐げられるわけでもなく、卵のパックを取り扱う程度の丁寧さをもって相手される。学校の中が荒れていようと、そうでなかろうと、私には関係がない。

 一人だけ違う場所に立たされている。私はそういった立場を受け入れてきたし、それは仕方のないことだとも思っていた。何故なら私は、いつこの場所から居なくなるのかもしれぬような存在だったのだから。

 しかし今回は話が違う。私はこれからこの地域の住民として長く生きていく。部外者の立場で居ることは出来ないし、仮にそうした場合私は外に置かれるのでなく、集団の中で孤立することになる。

 そういった私の中にある内心の不安とは裏腹に、学校のそばに植えられた桜は何の憂いもなく、風に吹かれながら薄桃色の花びらを舞い散らしていた。

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