告白の準備
翌日、いつも通り学校に行き、ホームルームの時間に教室に来た先生の指を見た。
――やっぱりだ! 先生は指輪をはめている。
しかし、とりわけ大きなショックは受けなかった。というのも、高山の家で遊んだあと、インターネットで調べたのだが、指輪をしていても必ずしも結婚をしているとは限らないようなのだ。ファッション感覚で 一種のアクセサリーとして付けている人とかもいるらしい。
その日も早帰りだった。大塚と高山は用事があったので、遊びはしなかったが 放課後四人で一緒に下校した。話題はもちろん、俺のこと。突然のカミングアウトを面白がっているのか、三人とも割と興味津々な様子だ。
「で、どうすんだよ優斗ー。卒業までもう時間ねーぞ」
西河が からかったように言ってくる。
「うるっさいなー、分かってるよー!」
下校中に、なかなか行動に移せないでいる俺に、三人がそれぞれ思い思いのアドバイスをくれた。
西河は、“当たってくだけろ”とか“思い立ったが吉日”という言葉を体現するがごとく、あれこれ考えてないで告白してみろ、というもの。
大塚は、人の出会いなんて一期一会なんだし、思い出の中にしまっておけばいいんじゃないか、というもの。
高山は、卒業するとき手紙でも渡せば、というもの。卒業後も連絡取りたければ、手紙にメアドでも書いたらどうか、とも言われた。
三人ともそれぞれの性格がよく表れたアドバイスだなと思った。高山の、メアドを手紙に書く というアイデアは斬新だなと思ったのと同時に、こいつ実際にやったことあるな とも思ったが伏せておいた。
高山のアドバイスも良いと思ったが、やっぱり直接話して気持ちを伝えたい。そして西河の言うように、もう悩んでうじうじしている時間は残されていない。大塚の、一期一会の考えも素敵だなと思ったけど、一期一会だからこそ、この出会いを大切にしたい!
......明日の放課後、先生と話して 気持ちを伝えよう。
夕方、近所の神社に行った。お祈りをしたくなったのだ。
「明日、告白がうまくいきますよーに!」
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