一〇月、其の〇五 【秋深し】


『枯れ葉踏み シャリリと砕け 秋深し』



季語/秋深し

季節/晩秋

場所/公園

時間/昼下がり


捕捉・備考/

 冬に近づいてくると雨量も少なく、枯れ葉の音色も変わってくるんですよね。落葉を始めたばかりのころはまだ柔らかく湿っていて、踏んだところで音もならない。寧ろ秋雨に濡れた葉は、砕けるのではなく千切れるという感じが近いですし。

 落ち葉ではなく、枯れ葉としてのも、より一層乾いた感じを出したかったからで、そこからの「シャリリ」という擬音は違和感なく想像できるかなと思います。そして千切れるのではなく砕ける。これも乾いていることを表現しています。

 秋深しという季語は、そこに秋特有のもの悲しさや虚しさが入っているとされています。この、季節が過ぎ去っていくときに胸に去来する仄暗い心情を詠みたかったのです。

 それと、枯れ葉を踏んでいることから、歩いているということが解ると思います。この「シャリリ」という音が鳴ったということは地面は土ではなくアスファルト、或いはコンクリ、石の上。凄く物悲しい気分なんですけど、でも出かけてるわけですね。その情景に希望を見出せればなと思って詠みました。

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