第26話

ドラゴンのシアン、マゼンタ、イエローの協力を得ることができたクーロは、まずどこから客を集めるかということを三匹を交えながら話し合いをする。


「人間の国は一番最後で良いのではないか?ディアーヌ殿たちから聞いた限りでは国にもよるらしいが魔族にあまり良い顔をせぬらしいですぞ」


「ゴウワ将軍の言う通り、人間の国は最後にした方がよさそうだな、亜人たちと人間の連合国、獣人国、エルフ国などではどうだ?」


「下調べした限りでは問題ないかと思いますよ、やはり問題は人間国なんですけどね。」


ドラゴンはやはりその素材が魅力的であり、なによりもそのドラゴンの素材を手に入れようと躍起になるのが人間族である。そのほかの種族に関しては、例えばドワーフ族も素材という意味合いでは彼らは職人集団ということもあり、ドラゴンの素材を欲しがるだろう。

だが、人間族のようにドラゴンをわざわざ狩ってまでという考えではない。


ドワーフ族が欲しがる素材としてはまずは鱗である。鱗は装飾品をはじめ、武具にまで利用できる便利な素材である、次に欲しがるのが爪や牙である。

爪や牙は武器を作る素材として利用できるため、これも欲しがる。

そして、ドラゴンは脱皮をする。その脱皮をした皮を服飾や防具に利用できる。

つまり、ドワーフ族としてはわざわざドラゴンの命を奪わなくても、知性のあるドラゴンであれば譲ってもらえる素材を欲しがるのである。


逆に人間族はドラゴンを狩ることに意義を見出している。ドラゴンスレイヤーなる称号まであるぐらいだ、つまり、ドラゴンを倒すだけの実力があるという名声をまずは欲しがる。

そして、ドラゴンの肉。王侯貴族が高級食材として欲しがり、そしてドラゴンの骨から作られる武具作りたいがための素材としてドラゴンを狩るのだ。


「いやぁ、以前ちょーっと、遊びに行った時に矢を射かけられてびっくりびっくり」


シアンがカラカラと笑いながら危なかったぜと言う、それに対してクーロは危ないことはしないでおくれよとシアンをたしなめる


「では、まずは人間国以外のの亜人連合国などが無難なようだな」

「そうですね、その方が安全かと」


シィも頷き、まず亜人連合国、エルフ国、ドワーフ国など人間族以外の種族の国から客を集めることにすることに決定する。

とは言っても、すぐに取り掛かるわけではない。

まだ、従業員であるディアーヌたちは研修中であるし、交通手段としてドラゴンの協力は得たばかりで、乗り物の手配や制作をしなければいけない。


まずは従業員の育成を目的として、進めていかなければいけない。

そもそも、何の前準備もなしに次々と推し進めていってもいい結果は得られないし、従業員の負担は倍増するだけだろう。


「道中の危険がどれくらいあるのか、調べてもらうことになるが。

シィ、仕事を増やして申し訳ないが、できるか?」


「ええ、それくらいでしたらお安い御用ですよ、それに、すでにある程度は調べ終わってますよ。調査の片手間に部下に指示しておきましたのでね」


「さすがだ!!」


シィの働きぶりにクーロは素直に感嘆の態度をしめせば、シィはドヤ顔ででしょう?俺はできる男ですからね!と胸を張る


「クーロ殿、乗り物の制作もある程度できておりますぞ、なにせ魔族領での一番の移動手段はドラゴンですからな、多人数を運べるものにしておりますからの、あとで確認をしていただいてもよろしいか?」


「ゴウワ将軍もですか!?ありがとうございます!」


可能性として先に着手していた乗り物に関してゴウワも胸を張りクーロへ伝えれば、嬉しそうにお礼を言う。

某もできる男ですからな!といったあと、シィとゴウワはちらりとドラゴン三匹を見れば、三匹は悔しそうに顔を歪めている。

なにせ、ある程度準備が整ってからの協力の依頼である。

以前からの知り合いであるクーロに、協力するのは当然だと思っている三匹だがそれを先を越されて、かつ褒められているのが自分たちでないと言う状況が面白くないといわんばかりである。

ドラゴンは嫉妬深い生き物である。なにせ、いろんなものを溜め込む癖もある種族であるかして、友人の一番でないということがプライドを地味に傷つけてたりするのだが、クーロはそんなことを知りようもないため、三匹も強く前に出ることができない。


「こ、これから私たちもしっかり手伝いますからね。クーロ様、遠慮なくいってくださいね!!」


「そうだぜ!クーロ 俺たちの仲なんだからな!」


「クーロさま〜、ボクもちゃんと手伝いますから、仲間はずれはダメですからね〜」


「ああ!もちろん これからよろしくたのむぞ!!」


クーロの笑顔にとりあえず溜飲を下げる三匹であるのだが、しかし得意分野がそれぞれ違うため、ゴウワやシィと度々、静かな争いを繰り広げることになるのだが、とりあえずいまはクーロの力になるぞと意気込むのであった。




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