第3話
クーロは書類のチェックが終わり 一息つくために侍女の用意した紅茶を飲む
コーヒーは最初の3日で飲み過ぎて胃にきてしまったので 紅茶や緑茶や麦茶などを飲むように変えさたのは「人間たちの作るものは本当に多種多様だな 魔族もこれくらい臨機応変に考えられればなぁ・・・」
ふぅっとため息を吐いて 頬杖をつく
行儀が悪いですよとエスドにたしなめられるが いかんせん署類を確認したりすればするほど頭も痛くなるものである
人間族の作るものは食べ物を始め娯楽品 その他諸々 魔族から見れば魅力的なものが多すぎて人間族の土地へ移住してしまうのその気持ちもクーロ自体もわからないわけではない
その結果、人口の減少に繋がってしまったのだから目も当てられないが
人間族と魔族の間の戦争も初代魔王が2000年をかけて終結し
多少の小競り合いもあるにはあるが、それでも平和な時代が2000年以上続いている
そうすれば長命で好戦的な魔族の興味は食や娯楽に向いて今に至る
初代魔王は戦争は終結したのでいいかげん引退したいと自分の子どもに地位を半ば無理やり譲り それを繰り返して現在クーロがなし崩し的に魔王となっている
最初の1000年をかけて緩やかに人口減少は進んではいたのだが
それなりにベビーブームなどが起こり 人口減少には気づけなかった
そして1000年でさらに人口が減り 気づいた魔王が対策を講じてきたのだが
すでに手遅れになって 先代魔王が匙を投げてしまったのである
「・・・人族がこの土地に定住してくれれば 娯楽も増えて戻ってきてくれるのでは?」
「人族にとっては魅力がない土地なので無理なのでは?」
「そこなんだ 人族の土地ほどここは豊かではない 獣も人族の土地のものと比べると
強く凶悪 興味を示すのは冒険者と呼ばれる者たちぐらいだからなぁ・・・」
クーロはこの人口減少に対するいままでの魔王たちの対策も資料で読んだし
実際にどうにもならなかったことも知っている
魔族の土地の魅力はなんだ?と聞かれると特にないとしか言いようがないのが現状で
また一つため息を吐く
「少し 書庫に行ってくる 何か急ぎの仕事があれば呼んでくれ」
そういってクーロは立ち上がり 何か打開策がないものかと書庫に向かうのだが
その背中が哀愁を帯びているのをみて
まだ魔族としては若いクーロの枯れ具合にエスドと侍女はなんとも言えない表情で見送るしかなかったのである
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