第2話

魔王としての仕事はまず、書類のチェックから始まる

おおまかには秘書であり右腕である エスド・イージールワが重要な書類とそうでないのに分けてくれているのでクーロはそれに承認の判を押すか押さないかを見極めるのだが


「なあ、エスド たまにひっかけのように重要な書類の中にどうでもいい書類を混ぜるのはやめてくれないか?」


そういってクーロは書棚から資料を取り出しているエスドに話しかける

藍色の艶やかな髪に豊満な胸、口紅は青の入った赤を塗っていて艶々としている

顔は言うまでもなくハッとするような美しさで、スレンダーラインの黒いシンプルだが体のラインがハッキリと分かるドレスを着ている美女はニコリと妖艶に微笑むと


「あらあら、魔王様はそんな書類に引っかかってしまうような無能なかたなのですか?

わたくしったらもうしわけございません魔王様を買いかぶっていたようですわ」


「いや、引っかからないよ!?さすがに初日にやられてあれだけ馬鹿にされたら気をつけるよ!」


「なら問題ございませんよんね?まだ7日しか経っておりませんもの またあのようなミスを犯す可能性も捨てきれませんでしょう?」


有無を言わせない笑顔を見せた後 再び作業に戻るエスドにクーロはそれ以上何も言えず

心の中で泣きながら書類チェックに戻らざるを得ない

自分が上司なのだが自分より長くその地位についていてかつ、仕事ができるので逆らうことができないのだが、いずれはギャフンと言わせてやると力強く判を押し気持ちを改める


自分の代で魔族の領土をどうにか立ち直すために


そしてエスドにギャフンと言わせるために クーロは書類の見落としに気をつけながら

仕事をするのである





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