第31話【子育て日記二日目】(精神の滝編その2)
(中心に力を集中し、外へ拡散させる……)
呼吸を忘れてしまうほどに目先へと集中力を費やしているが、徐々に体が滝へと近づくニッシャは、左手を後方に向け同程度の炎を放出させることによりこれ以上の後退を防ぐ手段に出た。
(あー……くそっ!!ミフィレンと楽しく遊ぼうとしたらこの様だぜ)
豪爆と放炎が互いにぶつかり合い、力が均衡する中いまだその力が弱まることを知らない【
(さて……
通常
「片手で上手くいくとは、思わねえけどヤらなきゃ殺られるな……!!」
【
球体の中は小さな火が高速回転により増幅され、舞う様な炎と化す。
ニッシャの魔力が縦横無尽に駆け巡り、まるで鋭利な
「
内部で爆発的に増幅する火花達は上空200M程まで昇った所で、負荷に耐えきれず圧力が外へと漏れ出し始める。
1ヵ所でも空いた後は
仰向けで「プカプカ」と浮かんでいる子どもたちの目に映るのは、まるで煌めく無数の宝石のように天井全体を
上空には球体から次々と放たれる落下範囲、数百Mにも及ぶ火の結晶は引力に従い下方へと引き寄せられる。
全く対処しようとしない
疲れはてたニッシャは、漂流物の様に浮いており、若いとはいえ流石のニッシャでも自然回復に時間がかかるため、
「まぁ、この時期の「花火」と「雪」も悪くはないかもな……」そう言いながら防水性の煙草を口に咥え、吹き付ける煙は灰と交わりながら綺麗に消え去る。
爆発音と照りつける光が部屋全体を
「アイナとニッシャすごーい!もう一回見たい!!」
「あら、以外と悪くないわね……どう?綺麗な花火でしょ!?|ミフィちゃんのためにやったのよ」
「キャッキャッキャ!」
子ども達を抱き寄せそう呟き微笑むアイナと、初めての「光景」なのか感動と興奮を押さえきれないミフィレン、それに何でもかんでも笑うお年頃のラシメイナの三人は、火花を出し切るまでおよそ3分程だが、
「さぁて、あの天井は誰が直すんだろうな……」そう小さく呟き、見つめる先にあるのは骨組みは曲がり、
不思議な何かに引き寄せられる様に体はアイナの方へ向かって行き、濡れてくしゃくしゃになった髪の毛を面白がって遊んでいる声が頭上から聞こえる。
時折
「ニッシャ、さっきの花火綺麗だったねー!!」
小さな両手で左右の頬を潰され、揉みくちゃにされて返答し辛かったが、可愛いから許そう……だがその後ろの子は、許してくれない気がする。
可愛い顔の裏には、
「自分が何したか分かってるわよね?」と
「ニッシャ面白い顔ー!!」怯えた顔をしている私に向けたその一言を聞いた途端、音もなく天を仰いでいたのは言うまでもないな。
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