第18話【燃ゆる思い】(2)
体を巡る
ファッション性を重視し過ぎたせいで
通常に比べ、
「ふぅっ......」とため息を
傷は再生されながらも出血をし続け、流れ出る血の感覚すらなく、
「煙草がねぇのが辛いが、今はそれどころじゃないな。かなりいい一撃をもらっちまったな。早く処置しないと身がもたねぇ」
塞がっていた傷は開き、流れ出る血液はドレス内を通り、「ポタポタ」と滴り落ちる。
顔が火照っているのがわかる、どうやら少し無理をしたようだ。
最小限の被害で、最大のパフォーマンスなんてもんは不器用な私じゃ無理があるがまぁこんなもんだろう。
天井を見渡せば、いつも通りの太陽と周りを見渡せば、溶岩と瓦礫、少しやりすぎたな。
「早く帰って、ミフィレンを「モフり」たいな」
そんな事を頭の中で「グルグル」させていた。
突然後方で爆発音が響き、
黒き肉体は元の形とは比べ物にならないくらい崩壊こそしていたが、先程までのダメージを
並みの【level-Ⅲ】なら、間違いなくその身を保てない筈だが……
だが、奴は両の羽を大きく広げゆっくりと地に足がついたのを見て確信した。
この状況で自ら、「突然変異」したのだ。
〔
〔
燃え盛る二刀の角はもはや、王の名に相応しい冠となり、古い角は刀のように持ち鋭利かつ頑強な「矛」となり、私の炎が
マグマと化す炎ですら無意味になり、その肉体は全てを無に
「こっちはもう、お前に飽きたんだがまだ遊びたいか?……」
強がってはいるが、心身ともに限界であった。
先端が
抵抗できず、「ぐったり」としている私の首を軽々と掴み、煮えたぎるマグマのすぐ真上へ連れてかれる。
徐々にその範囲を広げ落下すれば、発現元である今の私ですら死ぬかもしれない。
無口だったのかシャイなのかわからんが奴は、初めて口を開いた。
「貴様はなぜ強い、どこでその技を身に付けた?」
力への執着なのか、私に興味を示していた。
こんな成りのせいでモテなかったが、ついにモテ期がきたか、なんて冗談めいた事を考えていた。
生まれて一度だって誰かの役にたてなかった。
生まれて一度だって恋なんてしなかった。
生まれて一度だって誰かを守りたいと思えなかった。
生まれてはじめて小さな命に触れた。
守りたいって、信じたいって思えたんだ。
「てめぇなんかに、教えるかばーか」
手足の感覚なんてとっくになくなり、「だらり」と力なく揺れる手で中指を立て、奴の顔面に血反吐を吐きつけ、死を覚悟した私はそっと目を閉じた。
首を掴んだ手が離れ、なんとも言えない浮遊感を味わい、体は火の中へ放たれた。
【非常通路兜武者側】
抵抗もなくゆっくりと沈むニッシャ。
小さな火が音を立てながら体を包み込み、その姿を見ることなく強者を求め歩み始める。
「答えも聞けぬままか、まぁ良いこの先にさらに強力な
「ズズズッ」と地面を割き、
己が目指すは、強者の気配がする「避難所」、そこに答えはあると直感でわかっていた。
ニッシャの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます