第11話【進行する恐怖】(2)
身を挺して守ると誓い、最後のあがきをみせようとしたその時、ミノタウロスの肩がクレーターのように陥没したのだ。
肩を押さえながら、牛刀を執拗に振り回す。
炎を帯びた牛刀が当たり、柱の切り口からは火花が咲き、幾重にも斬撃が残る。
そんな中、ニッシャの炎を得たことにより、水をえた魚のごとく。手のひらサイズだったものがあろうことかミノタウロスを越す程の強靭な体を手に入れたのだ。
迫り行く巨体の後ろに、もう1体、その身を燃やす姿があった。
〔
広場では命を賭けて闘うものがいた。
あるものは、主人を守るため、そしてあるものは子守りの延長戦。
大変危険な状況にもかかわらず、偶然にも騒ぎを聞きつけ、アイナと赤子を探していた親御さんが現れたのだ。
母親と言うよりは、老けておりどちらかというと祖母のような白髪の女性は元々曲がった腰をさらに曲げ、丁寧な口調で話し出す。
「アイナちゃん達は、私が避難させるからあとはお願いします」
ミフィレン達は老婆に任せ、私は「
【応接室内部】
緊迫した、状況だがミフィレンが心配で話が全く頭に入らない。
ノーメンに任せた事に多少の、後悔を覚える。
「おい...さっきの揺れは何だ?ここは
いてもたってもいられずイライラが募る。
「ここは安全だ。問題はない。そんなに気になるのなら外の状況を見してやろう」
そう言うと、ガラス張りのテーブルからホログラムが浮かび上がり、外や内部の様子が映し出された。
広場では、ノーメン、
幸い被害は、出ておらずこのまま長期戦に持ち込めば勝機はありそうだった。
気だるそうに画像を見つめるニッシャだったが、ミフィレンの姿がないことに気づく。
驚いて、食い入るように見つめる。
「あの野郎に任せた私がバカだった……」
任せた相手が悪かったと改めて、頭を抱え込んでしまった。
そんな私を見て、我に秘策アリとでも言いたそうな顔をしていた。
「ニッシャ君、ここに入った段階で個人の
両隣の護衛に合図を送る。
私の姿が映し出され、文字が浮かび上がり、これまでの行動が羅列されていた。
「このように、登録されていたり、都に来た段階で個々の
あまり、納得がいってないのか、目は点になり、口を開け「ポカーン」という感じだった。
「詳細を知りたければ、ココを拡大すると君の固有
【ニッシャ】
〔B.W.H〕
〔T.W〕
〔出生地〕
〔経歴〕
10歳‐最年少で協会付属卒業
12歳-討伐部隊入隊、才能が開花する。
15歳-最年少記録更新、輝かしい戦歴を刻む。
18歳-部隊長就任、総kill数歴代1位記録殿堂入り。
20歳-元部隊長殺し、並びに都永久追放
25歳-5年ぶりに都入り※〔超〕要注意人物。
〔危険度level-Ⅳ〕
「プライベートっつう概念はないのかねぇ...ココわ?」
映し出された自分に煙を吹きかけると老年男性の顔いっぱいに、煙が充満し
「ゴホッゴホッ」という喉でつっかえたような、声が鈍く聞こえ、初めに都入りした時の画面に切り替わり、ミフィレンに照準を合わす。
そこには、ミフィレン、老婆、アイナ、赤子の四人が映し出されており、どうやら避難所へ向かっているようで、私は
「その、探しているのはこの子かね?」
シワが入り、短い指でミフィレンを指す。
あぁ、そうだよ、いいから早くしてくれと言うと、少し顔がひきつったが詳細を確認する。
【ミフィレン】
〔B.W.H〕
〔T.W〕
〔出生地〕ピスタリア王国第1王女
〔経歴〕
5歳-郊外の危険地区にてニッシャと出会う。
〔危険度level-0〕
「あの子が、王女?これってマジなの?」
再び驚いて脳の処理が追い付かない。
老体は、私よりも目が飛び出そうな程、驚いていた。
「協会に登録されていない
私が状況を把握してない顔をすると続けざまに話す。
伝書にも記されている通り、国同士の内乱で一族は死に亡骸は全てその土地へ埋葬したみたいだ。
だが本家の血筋の
まぁ、後半らへんはほとんど話は聞いてないが要点はそんなところだ。
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